2009年03月10日

超星艦隊セイザーX考・12 継承される魂

 明るく輝かしい未来を「作り直す」ため、セイザーXは時空を超えた戦いに挑んだ。そして成長した若者達は闇との戦いに打ち勝ち、全てのコスモカプセルを集める。
 希望の光、コスモカプセル。宇宙の根元的力と人を繋ぐ、この神秘の輝きが失われ、闇に覆われた未来。「このままではいけない」という意志は、シャークが先だったのか、それとも宇宙が先だったのか…




 「このままではいけない」という気づき。「今のままでは、待っているのは破滅しかない」という絶望感。それこそが人を変え、未来を変える原動力である。己と現実に絶望した時、果たして人はそこに屈するのか。それとも未来のために戦いを挑むのか。
 シャークは後者を選んだ。宗二郎が生きている優しい時間を守るため。レミーが生きるであろう未来を、明るく素晴らしいものにするために。彼の存在する時間は基本的に「未来」なので、それをすることで自らは消えるかも知れないが、真に絶望した人間は全身全霊で挑むことが出来るのだろう。

 結果、シャークの意志は宇宙の意志を共鳴させ、戦士が集い、過去へとその戦いの場を移す。
 宗二郎からナックルクロスを受け取ったタクトは、セイザーXに加わり共に戦う中で、自分自身も壁にぶつかりつつ乗り越え、大きな成長を遂げる。アド、ケイン、そしてレミー達副官の面々の不和と協力。何かに絶望しそれを乗り越えるたびに彼等は何かを掴んだ。彼等の内には、明確な信念が揺るぎなく輝くので、絶望はあっても迷いはないのだ。
 彼等の輝きが今を変えていく。元来は諸悪の根元であったデスカル三将軍までもが、セイザーXが持つ光に照らされたが如く、それぞれの絶望に気づき、明るい未来への道を歩み始める。
 一つの波紋が倍音となり、倍音が更に共鳴を呼ぶ。一人の男の絶望感と決意が、大きな輪となって広がっていく。



 そしてコスモカプセルが選んだのは若き十二人の戦士達だった。
 これからバラバラの時間と場所で生きていく、彼等一人一人がコスモカプセルを継承していくのだ。

 彼等は伝えていくだろう。コスモカプセルと共に、自分たちの戦いのことを。そこで学んだことを。正義の心を。ヒーロースピリッツとはなんなのかを。
 確かに戦いは終わった。しかし、宇宙から邪悪な意志がなくなったわけではない。いつかまた未来が闇で覆われてしまう日が来るかも知れない。
 そうならないために必要なことは何か。明るい未来のためにしなくてはならないことはなんなのか。それは、正義と調和の心、ヒーロースピリッツを継承していくことではないだろうか。シャークがしたように。宗二郎がタクトにしたように。
 継承されていくことで、ヒーロースピリッツは共鳴し増幅する。人の数だけその形は様々だろうが、その複雑な進化こそが宇宙の絶対的な物理法則でもある。それこそコスモカプセルが12個あることの理由だろう。




 「超星艦隊セイザーX」は子供たちに向けての強いメッセージを持った作品だ。そして最後に「すてきな未来をみんなで作ろう!」という言葉で締められる。
 「みんなで」作ろうと。私達にも呼びかけている。

 21世紀になって尚、人類は争いや犯罪が絶えない。どんなに平和や非暴力を訴えても、わずかでも邪悪な意志に囚われた者がいれば戦いは繰り返されてしまう。人間とは悲しい程に愚かしく、どうしようもなく低次元だ。
 しかし、このままではいけない。誰もが気付いているはずだ。
 ならば私達に出来る一番確実なことは、友人や未来を生きる子供たちに、ヒーロースピリッツを伝えることではないだろうか。人間の持ちうる最も高度な魂。人類に希望の光があるとすれば、それではないかと思う。




 「超星艦隊セイザーX」を見て、少しでも感動したのなら、あなたも「コスモカプセルの戦士」の一人になったと言うことだ。
 それは胸の内に大切に持ち続け、未来へと伝えていくべき、輝ける魂だ。




 コスモカプセルを継承した12人の戦士達がその魂を伝え、いつか宇宙全体がその光で満ちる日が来るかもしれない。
 その時に彼等の子孫は、12個のコスモカプセルを手に、再会するのかもしれない。

 ラストシーン、自分の居場所を見つけたレミーと、大きく成長し未来へと踏み出すタクトがハイタッチする。
 絶望から希望へ。明るい未来へと魂は継承されていく。
 時空を超えた戦いは、新たなる旅へと向かう。




 すてきな未来を、みんなで、作ろう。
 人は誰もがつながっているのだから。
 




−了−

長々とお付き合い下さり有難う御座いました。
しかしこういう考察って、後から読み返すと本当に恥ずかしいね。







超星艦隊セイザーX/ジャンプだ!僕らのセイザーX!!


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EDのあとの「今日の一言」もよかったんだよなー
 

2009年03月03日

超星艦隊セイザーX考・11 成長

 超星神シリーズも三作目となった「超星艦隊セイザーX」。EDや予告のあとの「今日の一言」を見ても分かるように、その物語のメッセージは明らかに「子供たち」を強く意識している。そして幼い子供が見ても面白いノリの良さとわかりやすさ、大人が見ても唸る深いテーマを両立させた、素晴らしい作品に仕上がった。
 結果的に土曜日の朝を彩ってきた超星神シリーズの最後を飾る作品になってしまったが、それに相応しいクオリティだったと思う。




 私は前に、シャークが持つ精神的支柱と、宗二郎から春子に受け継がれた安藤家の空間、それがセイザーXを男性原理と女性原理のバランスの取れた組織にしていたと語った。それはそのまま作品としての「セイザーX」にも言えると思う。
 「ジャスティライザー」で語られた「勇・智・仁」を兼ね備えたシャークの揺るぎない決意。「グランセイザー」で最終的に到達した「異なった個性をも受容し調和させる心」を持った安藤家の茶の間。そしてそれらを若き戦士達が受け継ぎ、より深く掘り下げる形で物語は進む。

 面白いなあと思うのは、変身する三人の若者にそれぞれ欠けた部分があり、それを補う形で成長していることだ。
 主人公のタクトは勇気と仁愛に溢れた若者だが、決定的に知性に欠けた無鉄砲な青年だ。
 使命感を強く持ったアドは、勇気と知力に長けているかわりに、暖かさや思いやりを知らずに育っている。
 誰よりも成熟した精神を持っていたケインは、叡智と愛情は申し分ないのだけれど、「やるときはやるよ」と言いつつものんびり屋でワンテンポ遅れがち。

 彼等は成長する。その過程で、彼等の欠けているものとは何なのか、正義の心とはなんなのかが語られる。
 アドは仲間を信頼する気持ちや家族という存在、受け入れがたい現実すらも受け入れる心を知った。ケインは使命と家族を天秤に掛けられるが、自分の使命を選ぶ事が出来た。それは決して家族を捨てたのではなく、1%の可能性を信じて己のすべき事を全うする勇気である。
 その中でもタクトが、生来の闇雲に突っ走る情熱と懐深い愛情で、味方にも敵にもツッコミまくり、その過程で「何故戦っているのだろうか」「何故分かり合えないんだろうか」「なんでも望みが叶う絶対的な力って必要なんだろうか」と、思い悩み苦しんみながらも、自力でその答えを見つけていく過程が「セイザーX」の物語の中心だった。子供のような単純な思考回路と真っ直ぐな心を持ったタクトが、悩みながら成長していくことで、彼等の戦いの意味が何処にあるのかが明確に示される。




 ラスボス戦で、タクトはブラックライオと問答する。

 どんな物語でも、ここで主人公がどこまで敵を論破できるか、そこに説得力があるかどうかが、キモとでも言うべき部分ではないかと思う。ちゃんと言い返せないと物語のテーマが伝わらない。どんなに正しいことを語っても、それが薄っぺらだと心には響かない。
 その点タクトは素晴らしかった。彼の言う言葉には「セイザーX」が紡いできた物語の魂がこもっていたと言っていい。視聴者はその言葉を聞きながら、今までの彼等の戦いと混乱、それを通して勝ち得てきたものが、全てそこに集約されているのを知る。
 そしてその心に呼応するが如く、互いの立場や考え方を超えて、結びついた仲間達が駆けつけてくれるのだ。

 若き戦士達は、確かにシャークと宗二郎から最も大切な精神を受け継いでいたと言えるだろう。
 それぞれ考え方もバラバラで独立したひとりひとりの人間が、互いの存在を深く肯定し合える世界。誰もがどこかでつながっている、そういう世界を作るために、そんな素敵な未来を作るために、彼等の時空を超えた戦いがあった。




 彼等の最後の戦いを、シャークと宗二郎が見守る。
 二人が為し得なかったことをやり遂げて、若者達は笑顔で帰還する。
 そんな若者達を、宇宙は探していたのだろう。




 コスモカプセルの数は12個。
 このセイザーX考も、次回で終了の予定……
 なんか淋しい気がします。





おしえて!カプセイザーG2


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これもほとんどコレクターアイテムの域(笑)

 

2009年02月24日

超星艦隊セイザーX考・10 超星神シリーズ

 「超星艦隊セイザーX」は、東宝の「超星神シリーズ」といわれる特撮番組の三番目にして最後の作品だ。このことについて少々言及しておきたい。
 超星神シリーズと言われてはいるが、実は作品毎にスタッフは多く入れ替わっている。共通項としては、基本に等身大ヒーローがおり、数話に一度巨大ロボ戦があり、キャラはやたらポジティブでフレンドリー。そんなものではないだろうか。
 しかし一作目の「超星神グランセイザー」、二作目の「幻星神ジャスティライザー」の遺伝子が、図らずもそれぞれ三作目の「超星艦隊セイザーX」へと引き継がれ開花している。
 ただしこれは前2作が「セイザーX」に比べ劣っているという意味ではない。それぞれが魅力的な作品群であることに変わりはないので、その辺は誤解なきよう…




 一作目の「超星神グランセイザー」は、遥か太古の遺伝子に導かれた若者達が、宇宙の脅威に生存権を賭けて立ち上がる物語だ。敵は宇宙連盟と言われており、所謂「神」的な存在が相手。
 つまり神を相手にケンカを仕掛けるという、とてつもなくDQNな物語なんだよね(笑)
 が、戦いを重ねることでグランセイザー達は、戦うことの空しさや仲間の大切さに気づき始める。個性も考え方も違う12人が、心を一つにした時、巫女の祈りが宇宙の意志に届く。

 どちらかというと物語は「専守防衛」。前にもちらりと書いたけれど、登場人物は揃いも揃って全員が自分勝手なボケキャラばかり。しかしお互いのことを「俺たちは仲間だ」と大切に思う気持ちは強い。
 だからこそ、最後には個性のぶつかりを誰一人否定することなく、調和から祈りへと昇華させていく。
 黄道十二宮をベースにしたキャラとヒーロー。当初は「数多すぎだよ」と思ったが、その設定にこそこの物語の神秘が宿っていた。地球を中心にぐるりとめぐるゾディアックは、まさに地球の意志そのものであり、宇宙と地球をつなぐものであり、同時にそれぞれが独立した個でもある。
 グランセイザー達が勝ち取った勝利、それは常にポジティブに互いを肯定してきた彼等だからこそ、到達できる境地だった。何故なら一つでも欠けてしまうと、ゾディアックは成立しなくなってしまうからだ。




 二作目の「幻星神ジャスティライザー」。今度は地球そのものが持つジャスティパワーが彼等の力の源となる。彼等は何一つ迷うことなく、地球を守るため、己の正義のために戦う。
 「正義」という言葉は、最近はヒーロー番組でさえ少々曖昧さを見せるようになってきた。その代表格が平成ライダーシリーズと言うことになるのだろう。世の中の価値観がゆらぐ現代、そうなるのは当然とも言える。逆に曖昧な正義の定義の中で、何を己の糧として「正義」とするか、それがテーマであったり、カギであったり、試練であったりするのだ。
 が、ジャスティライザーとして選ばれた彼等にはそう言う迷いはほとんどない。そもそも名前が「ジャスティ」という正義を連想させる。実は彼等の迷いのなさには明確な理由があるのだ。

 彼等の正義に迷いがない理由。それこそが「勇・智・仁」の三つの力なのではないか。
 ヒーローは戦う力を持っている。が、正義というのは力ではない。勝てば官軍、なんて言葉は、ヒーローには相応しくない。では正義とは何か。それこそ「勇・智・仁」のスピリットなのだ。力に屈しない勇気、真実を見極める叡智、他者を思いやる仁愛、これらが一つ欠けてもヒーローが心に抱くべき正義とは言えない。
 「勇・智・仁」の三つの力を担うべく、地球そのものが選んだ三人の若者。彼等が力を合わせた時にジャスティライザーはその強さを発揮する。そしてまたそこに「祈り」が加わることで、最強の戦士・シロガネが誕生するのだ。




 そして三作目、「超星艦隊セイザーX」。
 「グランセイザー」で紆余曲折の末にたどり着いた調和の精神と「独立した12のスピリット」。「ジャスティライザー」に流れていた、勇気と叡智と仁愛に満ちた正義の心。そしてより高次元の精神へ届けられる祈り。
 どれも不可欠な要素として、「セイザーX」という作品の根幹を担っている。こういうシリーズ作品の持つ不可思議な流れの中に、私はなにか不思議な力が働いている気がしてならない。「セイザーX」という作品が素晴らしい物語を見せてくれたのは偶然ではないのだろう。





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アドですね。本当の名前は長い。

 

2009年02月17日

超星艦隊セイザーX考・9 宇宙の賭け

 人の意志に共鳴して、宇宙の根元的な力を呼び覚ます媒介となるコスモカプセル。その高次元の「力」は、どんな願いでも叶えてくれるという。
 コスモカプセルとはなんなのか、という事について考えていた時、ふと思い浮かんだのが「伝説巨神イデオン」という作品だった。

 「伝説巨神イデオン」は、その内容の深さ、表現の素晴らしさ(エグさも含む)、話題性など、80年代のアニメを代表する作品だと言っても過言ではないだろう。
 宇宙の片隅の星で発掘された遺跡。そこには「イデ」と呼ばれる強大な力を呼び覚ますシステムが眠っていた。イデは人のより純粋な思いに共鳴して発動する。そして確かに主人公達の「生き残りたい」という強い思いに呼応していた。
 しかし人類の意識は低く、常に自分のエゴに振り回されているだけの存在で、「善きイデア(理念)」を共有する意識を獲得するに至らない。闘いの果てに戦いの空しさを悟りかけたところで、人類の可能性は因果地平へと託される。

 「セイザーX」の中でも、雷将軍サンダーラが問いかけていた。
 「何故戦うだ?何故お前達はまだこんなことをしているだ?」
 …100万年も経てば人類はもう少し成長するかと思ったら、大して変わっていなかったというわけだ。

 実際の所、人間の意識は21世紀になった現在でも昔と大差ない。人ってガッカリする程意識が低いんだよな(笑)
 シビアな話。私は日本の平和憲法の理念は素晴らしいと思う。が、例え人類の9割がそれを理想に掲げたとしても、残り一割に侵略の悪意があれば、結局は武器を持って戦うしかない。「戦いなんて放棄すればいい」なんて絵空事で、実際に目の前で家族が蹂躙されるのを見て、黙っていられる人がいるだろうか。愛する者を守るために立ち上がるのではないだろうか。



 でもそんなことばっかりしていても、しょーがないんだよね。
 何時か何処かで、なんとかしなくちゃならない。
 何故なら、闘いの果てには破滅しかないからだ。


 シャークが元いた世界。そこは、闇に覆われた未来だった。
 若き日の宗二郎と、一年間の宇宙船の修理を終えて山を下りた時のシャークは「そこは安全なのか?」と慌てていた。つまり彼がいた世界というのは、それ程身の回りが危険であり人間も信用できない世界であると言うことが察せられる。
 1960年代の地球にやってきたシャークは、宗二郎、そして幼いレミーとのふれあいを通じて、この世界を守りたいと思う。あんな闇に包まれた未来にしてはならないと。
 面白いのはシャークの意識の「主体」は未来にあると言う点だ。彼がいた場所、いやいるべき場所は、元来は闇に包まれた未来であり、しかしそれは彼にとって否定すべき状態となってしまった。ならば過去に戻ってやり直すしかない。そのことによって自分自身は失われることになろうとも、闇が支配する世界が人々が生きていく上で「善き世界」ではないと気付いてしまったから。

 人類は、いや、この世に生まれた生きとし生けるものは、何度も失敗を繰り返しながらも環境に対応し、ある種は絶滅しても別の種がやり直し、そして進化への道を進んでいる。例え地球が滅んでも、別の星で宇宙の偉大なる生命の実験は繰り返されるだろう。
 コスモカプセルは、そんな宇宙的な意志に非常に近いところにある、超自然的な存在ではないかと思う。だからこそ、「願いを叶える」という一見受け身の媒介でありながら、「宇宙がよりよく生き残るためにやりなおす」意志を持っているのではないかと私は解釈してみた。
 つまり、一度宇宙海賊による「先祖の復讐」というネガティブな意志をベースにして発動してしまったコスモカプセルの力は、エントロピーの増大を招いて物理的宇宙でその機能を停止してしまう。だから宇宙はやり直しを選択したのではないかと。宇宙はシャークの「善き意志」に人類の行く末を賭けたのだ。
 もしもこの賭けに失敗していたら、恐らく人類も宇宙もやり直しを強いられたに違いない。500年後の未来の宇宙は破滅して、全く違う生命体からのやり直しになったのではないだろうか。




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ホントに再評価されて欲しいよ、セイザーX…

 

2009年02月10日

超星艦隊セイザーX考・8 コスモカプセル

 家族と。仲間達と。人と人との繋がりを大切にすると言う横軸のあるセイザーX。家族を大切にすること。立場の違う者同志が、お互いの感情を超えたところで語り合い理解し合うこと。それに勝る喜びはない。
 その中にあってジャッカルの存在は「分かり合えない悲しみ」を描いていた。愛の深さ故に憎しみを煽り、「なぜそうなったのか」を理解しようとしなかった。不器用故に互いに歩み寄れなかった事による悲劇。

 しかしそんな関係でさえも、救いはあるのだと。
 どこかで遠回りしつつも、受け継がれていく意志はあるのだと。




 そんな「互いを受け入れる」という横軸を持ちつつ、では物語の縦軸はなんなのか、と問えばやはり「コスモカプセルを巡る戦いとよりよい未来を作ろうという意志」ということになるのだろう。これはシャークと宗二郎が最初から最後まで、物語の中で貫き通した意志でもある。
 このキーワードでもあるコスモカプセルとは、いったい何だったのか。ちょっと箇条書きして整理してみたい。

 ・地球に太古から存在している。
 ・12個揃うことでなんでも願いを叶えてくれる。
 ・それぞれ属性を持っている。
 ・単体で武器にもなる。
 ・「意志」を持っている。
 ・闇に浸食されて長時間経つと効力がなくなる。
 ・存在は消えない


 そもそもコスモカプセルとは「超自然的な存在」ということになっていて、その存在理由などについては語られていない。少なくともビオード星の人々が攻めてくる前の、太古の地球に最初から存在していて、宇宙海賊達やサンダーラの先祖は神として崇めていたらしい。
 面白いのは、コスモカプセルによって得られる力は、善にも悪にも使えるということだ。それを得たものに使う資格があると言えるのだろう。なんともニュートラルな存在だ。

 ちょっと余談になるが、宇宙海賊達にはそれぞれコスモカプセルに対応する属性があって、そのエレメントを使いこなすことが出来た。それは子孫であるネオデスカルまで連綿と伝えられている。そうした超自然的な力を操る能力が、太古の地球人にあった、ということになるのだろうか。そんなエレメントの力を使いこなせるようにしたのが、セイザーXたちが装着するスーツなのではないかと思う。
 彼等は遺伝子的に海賊の血を引いておらず、スーツとコスモカプセルがないと、宇宙海賊とは同等に戦えないのだろう。
 しかし、唯一シャークだけは水属性の先祖がいる為に、装着前から水を操れるということになる。シャーク登場エピで、彼が装着していない状態なのに、水と共に現れたのはそう言う理由なのかも知れない。私はあの時、「水を使って登場なんて、洒落た演出だけど辻褄は合わないな」と少し思っていたのだが、そう解釈すれば丸く収まることに最近気が付いた。もしかして伏線だったのか!みたいな(笑)



きりがいいので今回はここまで。






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ニュースやバラエティで曲を聴くと「あ」って思う。

2009年02月03日

超星艦隊セイザーX考・6 原風景の異物

 ブレアードとタクトは、デスカルの海賊船に何故か存在している、脱出不可能と思われた最強のゴミ箱に閉じこめられた。元々二人の性格や行動は言葉を超えたシンパシーに溢れていたが、(第一話ですでに、意味不明の暴走をするタクトの艦に、ブレアードだけは「熱いぜ」とちゃんと共感を示している)この脱出劇でタクトは「諦めずにやるだけやってみようぜ!」と声を掛け、二人で初めて名前を呼び合い、協力して難関突破する。この時ブレアードは、「情熱のままに走る男・タクト」に対して強い思いを抱いたのだろう。
 その思いは恐らくタクトも同じで、1クールラストの決戦の時、巨大化したブレアードを倒すのを一度は躊躇する。しかし故郷の星を失ったレミーの思いに応えるべく、やはり敵は敵、と決意を新たにした。

 二人はお互い口では「敵だ敵だ」と言い合う。それはガレイド登場で一時「息ぴったりだね」の共闘をしてからもしばらくは変わらない。恐らくブレアードは自分の誇りやアイデンティティから。タクトは多分、それまでの経緯とセイザーXの仲間達への思いから。
 この時までは、視聴者もまさかこのあとブレアードが安藤家に居候…というか、庭先で飼われることになるとは思わなかった訳だが(笑)



 安藤家というのは不思議な場所だ。



 ガレージやタクトの部屋はそれなりに今風なのだが、和室の茶の間があり、縁側とこぢんまりした庭がある。丁度サザエさん一家が住んでいるような、所謂「古き良き日本のお茶の間」のイメージそのものだ。

 そこに物語がスタートして少しずつ、異物が紛れ込んでくる。

 第一話のタンスにしまってある茶筒にコスモカプセル、というのを見て「出た!超星神クオリティwww」なんて笑っている間は甘かった。その後いきなり「ごく普通のご家庭のお風呂の脱衣場に、きれいに並べられたアインツバインのガワ」という、ものすごいビジュアルを見せつけられる。茶の間で頭を下げるツインセイザーの姿は、かなり異様な面白さがあった。
 逆にタクトも、バイト姿でライオキャリアーに乗り込む。物語の中で、500年後の未来と2005年の日常が交差してくる。

 思うに、安藤家が「古き良き日本のお茶の間」であることには、深い意味があるのではないだろうか。
 そもそものこの物語のスタートは、シャークと宗二郎の40年前の出会いに遡ることは前に書いた。その時シャークは、米を分けてもらうために寄った農家の田んぼの向こうから、「宗二郎!そこは安全なのか?」と何度も叫んでいた。彼がその時目にしていたのは、人と人とが笑顔で語り合う、優しく暖かな風景。
 もしもこの「セイザーX」という作品に原風景があるとしたら、まさにこの1960年のシーンだろう。
 己の身の安全を確認しなくても大きな危険はなく、人々が協力し笑って語り合い、緑と農作物が豊かに実りを与えている。シャークがそこに見たもの、その全てが、闇に包まれた未来にはないものであり、未来に伝えていきたい光に見えたのではないだろうか。
 安藤家の茶の間が、やや古い日本のお茶の間になっていると言うことは、即ちシャークが守り未来へ伝えたいと思った優しい光が、安藤家に大切に保管されていることを意味している気がする。




 元来「和風」の「和」は日本の国を表していると同時に、そこに紛れ込んだ異物すらもよしとするおおらかな精神を示してもいる。「グランセイザー」で最終的に到達した精神が「調和だ!」だったが、「セイザーX」の中で成長したタクトが出した結論もそこにあったのは興味深い。
 その成長過程を見守り続けていたのは、宗二郎であり、春子であり、安藤家の茶の間だった。
 ブレアードがつながれ、アドが白い米の飯を食い、アクアルやサイクリードまでやって来た安藤家の茶の間には、不思議な説得力があった。時空を越えて闇と戦い続ける不屈の精神を宗二郎が持っていたとするならば、彼等を温かく迎え入れたのは茶の間を守る春子であり、彼女の持つ包容力だろう。
 彼女は嫁ではあるが、それ程の女性でないと安藤家に嫁ぐことが出来なかった、とも言える。言うならば、運命に選ばれた人とも言えるのではないかと私は考えている。




 最終回、タクトの妹である由衣もコスモカプセルの戦士として選ばれている。なぜ由衣なのか。
 それは春子の娘だからではないだろうか。
 この物語は最終的に未来を作る若者に全てが託される。あの茶の間で笑顔でアクアルにお茶を出すことが出来る由衣には、コスモカプセルを持つ資格があると私は思う。その心を春子から学んでいるから。


まだまだつづく…






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劇場版は完全にパラレルって感じですが、超星神ファンには楽しいです。
セイザーX的には、役者の対談というレアな特典映像が素晴らしい。


 

2009年01月27日

超星艦隊セイザーX考・5 三人の将軍

 バカが主役の超星神シリーズ。

 ちなみに「仮面ライダー龍騎」の城戸真司も馬鹿キャラだったけれど、城戸真司の場合は「馬鹿」、超星神シリーズの主役達は「バカ」というイメージがあるのは何故だ(笑)その細かい差異なども考えると面白いかも知れないけれど、真司とタクトはツッコミ属性と言うことで共通点がある。周囲の立場の違うキャラ達に「なんでだよ!俺わかんねぇよ!!」と言い続け、問い続け、迷うスタンスに私はそれを感じる。
 案外この主役キャラが「ボケかツッコミか」というのは奥が深い気がしてきたな…

 ともかく、「セイザーX」の物語を引っ張るのは、平和な時代に生まれた地球人として戦いに参加した安藤拓人だ。彼は常に問いかけている。そして体当たりでお互いの気持ちや立場の違いなどを理解していくのだ。
 その一方で、超星神シリーズの「熱血ボケ主人公」をそのまま体現したキャラを、何故か敵側に配置したことが「セイザーX」の面白味を深めたと言っても過言ではないだろう。




 みんなのアイドル☆火将軍ブレアード(はぁと

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 上の画像は、まだセイザーXが始まる前に雑誌に掲載されたものなのだけど、これを見た超星神シリーズのファンなら誰もが「えーと、これはジャスティライザーの三人組なんじゃないの?」と思う程度には、如何にも超☆神な雰囲気を漂わせている(笑)そして案の定、第一話にしてこのすっとぼけた三人組は、誰からともなく「三馬鹿トリオ」と呼ばれるようになった。
 ブレアードは直情型。余り考えないし単純明快。バカでボケの超星神主役遺伝子を、誰よりも色濃く受け継いでいる。
 アクアルは三人の中で一番、清く正しく美しく「悪役」。敵には情けを掛けないし、目的を達成するためなら手段は選ばない。性格も女王様風味のS属性。
 サイクリードは知性派のスタンスのはずなのだが、余り争いを好まない優しさの方が強調されている。結果的に悪役としてはトボケた味わいのキャラクターになっている。
 猪突猛進バカとオトボケだけでは頼りないところを、女王様が締めることで悪役らしくはなっているのだが、なんとも愛すべき三人組だ。超星神のバカボケ主人公に慣らされていた私達は、ついつい見ていてオモシロいこの三人組に肩入れする。あまりに楽しい連中なので、見ているうちに「やっつけたくないなあ。フツーに宇宙に帰るか地球で仲良く暮らしてくれないかなあ」と考えてしまう。



 面白いのは、この三人が地球に来た理由というのが「バーダー艦長に命令されたから」ということだ。彼等はこの時点で、地球に対して特に憎しみも野望も抱いてはいない。宇宙海賊と言うからには、今まで必要があれば他の星を荒らして物資を略奪していた訳で、今回もそのノリだったのだろう。
 一方セイザーX側も、再三アドが「我々の目的はコスモカプセルだ」と語っているように、宇宙海賊の殲滅を第一義としているのではない。
 それぞれの目的が明確だったからこそ、戦いの中心には常にコスモカプセルがあり、その争奪戦に勝利することが肝心だった。そこには不思議と「憎しみ」の感情がキャラ同志も少ないという奇妙な敵対関係になっている。闇に支配された未来から来たアド達は多少は思うところもあるのだろうが、シャークが徹底して「殺戮での解決ではなく、コスモカプセルを消滅させることでしか未来は変えられない」ということを伝えていたと思われる。

 視聴者側は「三馬鹿トリオ面白れえぇぇぇwwwww」と、思い入れが増していく。それがかなり高まってきたのを見越したかのように、タクトとブレアードが無敵のゴミ箱の中に閉じこめられるという「普通なら男女で恋愛フラグ」なエピが待っている。
 閉鎖された空間で三日間、「ツッコミバカ・タクト」と「バカボケ・ブレアード」の掛け合いと高いシンクロ率は期待通りに面白かった。しかも腹を割って話し合い、協力し合って脱出する過程には不思議な説得力がある。ここの大きなポイントは、互いに余り憎しみを持っていない二人だったと言うことだ。戦ってもしょうがないし。じゃあなんで戦ってるんだよ?と。
 そして性格も感性もそっくりなこの二人が、物語をダイナミックに動かしていくことになるのだ。



 余談だけど、着ぐるみにもやはり「美形とブサイク」がいると思うのだよ。如何にもカッコイイデザインとか、あるじゃん?で、ブレアードをデザインした人が、後日「こんなキャラになるならこんなデザインにしなかったのに」と言ったとか、そんな話をネットの噂で聞いた。
 ブレアードみたいな役回りって、人間が演じるならかなりイケメンが選ばれるような感じだし、着ぐるみとしたってもうちょっと二枚目風なデザインもあったんだろうけど、あの赤くてトゲトゲしているところがいいんだよね〜(笑)




 案の定長い戦いになりそうだ。続きは来週(^^;;;




超星艦隊セイザーX 音楽集(上)


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毎週見ていたときはホントにドキドキしてました。


 

2009年01月14日

超星艦隊セイザーX考・4 ボケとツッコミ

 様々な立場の人間が入り乱れ、それぞれの考え方を超えてつながっていく過程が丹念に描かれるセイザーX。メインキャラだけでも結構な数なのだが、すんなりとうけいれられるキャラ立ちと、ゴチャ付かない力関係で視聴者に無理なく人間関係を理解させてくれる。
 その流れが最終クールで花開いてくるのだが、1クールは味方同士で、2クールは敵側も入り乱れての人間関係が面白い。



 ここで超星神シリーズ三作のキャラ達について軽くふれたい。



 超星神シリーズと言えば、必ず言えるのが…


 主役はバカ。


 これだけは外せないのではないだろうか。しかもバカはバカでも単純明快熱血バカで、それこそが超星神シリーズの主役を張るための条件ではないかと思われる程、徹底してみんなバカ。



 グランセイザーの天馬は、熱血バカでありつつも、ややDQN属性を持っており、「ぶっつぶしてやる!」と物騒なことを言う。装着する時の変な顔もそれっぽい。「よし、俺探してくる!」と後先考えずに研究所を出て行って「ちょ、ちょっと天馬ぁ」「あのアンポンタンが!」と、仲間達や博士に呆れられるのが常だ。スタンスとしてはどちらかというとボケ。
 ただグランセイザーは、「十二人の戦士全員がボケ」とも言える凄まじいカオスヒーローであり、視聴者は物語を見ながらツッコミまくるのが楽しい視聴の仕方だった。
 終盤近く、それまで全員がそれぞれ好き勝手にボケまくっていたのが、最後に意志を一つにするプロセスはよかったと思う。正にそれがグランセイザーが異なる資質を持つ十二星座の戦士たる所以だった。

 ジャスティライザーの翔太は、天然系熱血バカ。ヒロインであるユカに、露骨に「翔太のバカ!」と言われた回数数知れず。ジャスティライザーの三人の中では、完全にボケ。ユカは正統派ツッコミ、真也は生真面目ツッコミで、キャラバランスとしてはトリオ漫才の状態だった。
 この安定した状態が、ドラマとしては良くできていながら、グランセイザーのカオスに慣れた人間にはやや物足りない印象もあった第1クール。それが第2クールになって、真也の隠れ熱血面が見られたり、それまでお嬢様キャラだった澪さんがボケに回り始めたり、脅威のクールボケ・デモンナイトの登場で面白さが加速し始めた。特にクールボケと生真面目ツッコミのやりとりは最高で、「…胃が収縮している」「血糖値が下がっているんだ」と、真顔でやりとりされた日には呼吸困難を起こしそうになった(笑)



 そんな歴代主役は「バカでボケ」が定番だったのだが、セイザーXの主役である安藤拓人は「突っ走りバカでツッコミ」という新たな属性になった。
 これが絶妙の配置だったのが、セイザーXのドラマには非常に効果的だったと思う。地球代表のタクトが、視聴者と同じスタンス・同じテンポで、未来から来た仲間達や宇宙海賊達にツッコミまくる。いつだったか、私はこれを

   「踊る!タクト御殿」

 …などと言って笑っていたけれど、案外これは的を射ているのではないかと自分で思っている。

 ツッコミというのは、相手と自分のスタンスの差や状況の把握など、それなりに相手に対する直感的な理解を深めた状態でないと出来ない行為だ。
 今までの主役は単純バカでありながら、その心の奥に燃える熱いヒーロースピリットの輝きに共鳴した仲間達が、彼のスタンスを理解しながら自分の役割をこなした感がある。しかしタクトは逆に、周囲を理解していこうとする側に立った主人公だ。なんであいつ等はこんな事言うんだ。どうしてこれじゃだめなんだ。俺、判んねえよ爺ちゃん。周りにオープンハートにツッコミまくり、失敗して落ち込み、それでも前進しよう理解しようとする。
 最初から賢く理屈で理解しているのではなく、体でぶつかって衝突していくうちに、生来の素直な性格もあって柔軟に色々な考え方を身につけていく。最初は偉大なる祖父に認めてもらいたいから、そして段々とみんなのために戦うヒーローへと成長し、最後にはより深い人への愛と理解に目ざめていく。
 そしてそれは、テレビを通じて「ツッコミ」を入れていた私達自身にもリンクするのだ。


 セイザーXはタクトの成長物語が非常に上手く描かれていたのではないだろうか。そしてそれが深いテーマに無理なく直結する時に、私達はすでにタクトに対して深いシンパシーを感じている。
 最終話近くで闇に対面し、ブラックライオにしっかりと自分の言葉で論破出来たタクト。セイザーXを見守ってきた視聴者なら、彼の言葉に深く共鳴したことだろう。




超星艦隊セイザーX/ジャンプだ!僕らのセイザーX!!


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これは名曲ですよ。

 

2009年01月06日

超星艦隊セイザーX考・3 若者達

 シャークと宗二郎という、揺るぎない大きな精神の支柱を持った「セイザーX」だが、エピの中で彼等が大きく注目されているのかというと、意外な程出番は少ない。物語を動かしているのは、タクト達セイザーXの若者達であり、デスカル三将軍の面々であったりする。
 シャークは己の消滅を予期して、最初から「新しい未来を若者達に任せる」ことを念頭にに行動している訳で、基本的に「見守る」立場だ。それは年老いた宗二郎も同じであり、彼等は己の夢と希望を次の世代へ託している。
 そして事実、若者達の様々な葛藤や紆余曲折が、めぐりめぐって新しい未来を創り上げていくのである。



 この物語の題名は「超星艦隊セイザーX」。超星艦隊、というだけあって、未来からやって来たメンバーは、その出身星や身体的な特徴は様々だ。そこに地球出身の安藤拓人が加わって、セイザーXが結成される。

 今までの超星神シリーズの特徴として、「俺たちは仲間だ!」というセリフを挙げる人は多いだろう。グランセイザーでは左手の甲に浮かぶ星座の象徴が、ジャスティライザーでは空から舞い降りてきたインローダーが、彼等を選ばれた戦士として導く。その結果彼等は迷うことなく戦いに参加し、強い絆で結ばれる。
 しかしセイザーXのメンバーは、まず第一に「使命」ありきだ。あとはそれぞれバラバラの思いを抱えて、自分に与えられた使命を全うしようと地球にやってくる。



 未来から来たメンバーは、シャーク隊長に選ばれた戦士達。
 ネオデスカルに支配され戦いが絶えない時代に生まれ、それぞれの判断で反乱軍に参加した。2005年の地球に行くミッションは、それを遂行すると再び自分が生まれ育った環境には戻れなくなってしまう。それを覚悟の上での任務だった。

 平和な地球で生まれ育ったタクト。
 彼はまだ幼い頃、祖父から不思議なブレスレットを渡される。何時か宇宙海賊がやってくる、そいつ等と戦わなくちゃならないと。タクトはその言葉を信じ、忘れることなく2005年のその時を迎えた。

 未来から来た悲壮なまでに強い使命感を持ったメンバーと、自分の胸の内に祖父の言葉を暖めていたタクト、彼等は当然ぶつかり合う。「背負っているものが違う」と言われて反感を持ったり、自分が戦う理由に悩んだりもする。
 1クールの展開は、そうした彼等の考えの相違が浮き彫りにされる。それぞれが背負っているものは確かに違う。しかしこの戦いに勝たなくてはならず、その為にはお互いを理解し合って協力をせざるを得ない。


 特に家族制度を持たない超管理社会に生まれ、戦士として生まれ育ったアドは、無為に侵略された地球の人々が許せない。厳しくも温かい家庭で育ったタクトとは正反対で、それ故に対立することも多い。
 アドが何故ドラマの中で「白い米の飯だけはダメなんだ」と言い続けていたのかは、はっきりと語られていない。が、恐らく彼にとって白い米の飯というのは、受け入れがたい正反対の価値観の象徴のようなものだったのではないだろうかと思う。自分が当初否定していた「安穏と暮らす地球人」の食生活を受け入れてしまうというのは、彼にとってはそれまで培った自己アイデンティティを否定するのに等しい行為だったのかもしれない。

 一方ケインは、おっとりしてはいるものの非常に考え方はしっかりしていて、未来の悲惨な現状も家族の大切さも知っている、タクトとアドの架け橋のような役割になっている。
 それでも戦いに参加するためには「この星が守るに値するのか」を自分の目で見、肌で感じて納得する必要があった。どんな小さな可能性でも信じて「絶対って事はないんだよ」と笑顔で言える彼は強い。そんな彼だからこそ、故郷の星の安全と引き替えに裏切りを示唆された時も、思いを振り切ることが出来たのだろう。

 そんな様々な若者達の葛藤の中で、「驚くべき馬鹿」と呼ばれたタクトは、そのひたむきな姿勢とオープンハートな振る舞いで、次第に多くの人達を結びつけていく。
 その過程こそがこの「セイザーX」のキモであり、最後の戦いに向かって突き進んでいる、物語の深いテーマでもあるのだ。




 余談だが、とある「セイザーX」のヒーローショーで、タクトとレミーを演じた役者さん達が出たことがある。ショーのあとトークショーがあり、そこでは珍しく「役者個人として」ではなく、「セイザーXのタクトとして、レミーとして」質問を受けて話してくれたのだそうだ。
 そこで「戦いで辛かったことはありますか?」という質問にタクトは「戦いそのものは辛いと思わなかったけど、子どもの頃、友達に宇宙海賊なんて来るわけがないと言われたのが辛かった。でも俺は爺ちゃんを信じていた」と答えたとのこと。
 確かに、平和な地球に生まれ育ったタクトには未来組程は背負ったものは大きくないかも知れない。しかし彼が生きてきた年月に温めた思いは、言葉では語り尽くされないものがあったろうと思う。そして、この問いかけにそんな風に答えられる役者さんも素晴らしいと思った。いい人に演じてもらったね、タクト。



まだまだ続く。ああ、マジ長いw





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このおもちゃね!メンバーの声が色々入ってるんですよ!!

2008年12月30日

超星艦隊セイザーX考・2 シャークと宗二郎

 コスモカプセルの調査のために過去の地球に行くはずが、ワームホールの事故で1960年代に来てしまうシャーク。そして彼は、若き日の宗二郎と出会う。



 宗二郎がシャークの宇宙船の修理をし、シャークが心を開いて自分の秘密を語るようになるまで一年。コスモカプセルを集め、最終的に戦う決意をするまで更に一年。再び戻ってくること、宇宙海賊と戦うことを約束をして二人は別れる。
 シャークは未来に帰り、反乱軍を結成する。幼かったレミーが成長しているところを見ると、反乱軍を指揮し始めて10余年が経っているという計算になる。その間シャークは、仲間を集め物資を確保し、闇の勢力と戦いながら来るべきその時のために準備していたのだろう。
 宗二郎は、40年を平和な地球で過ごす。才能に溢れる彼は、その技術力で世界に名を轟かす程になっている。その一方、シャークが来た時のために一人でコスモカプセルを集めつつ、自分の家族には「いつか地球に宇宙海賊が来る」ということを、ストレージリングと共に伝えていた。自分が戦えない時は子どもが、孫が、シャークとの約束を果たせるようにと。
 その長い年月、シャークも宗二郎も、決して相手のことを疑うことはなかった。2005年、本当にやってきた宇宙海賊とセイザーX。未来から一方通行の通信の中で、シャークは当然そこに宗二郎がいると信じていたし、宗二郎はいちどは死んだと思われたシャークが生きて現代にやってくると確信していた。

 それ程までに固く結ばれた二人が成し遂げようとしていること。
 それは達成した時に、シャークの消滅を意味するかも知れないというのに、それを承知で二人は運命に闘いを挑む決意をしたのだ。



 私は「セイザーX」という作品について考える時、この二人の
「時空を超えて貫こうとした強い思い」が、物語の背骨とでも言うべき部分ではないかと思う。
 もしも自分を、世界を、宇宙を、大きく変えなくてはならないと思うなら。その規模に拘わらずその時に必要なのは、時間と空間を超えて貫かれた強い意志力だ。このままでは駄目だ、変えて行かなくてはならないと決意する心と自分を信じる思いだ。
 シャークと宗二郎の思い。闇に包まれた未来を変えていく。優しく温かく光に満ちた世界を守る。その為の強い意志…ある種の「覚悟」を背負ったこの決意こそが、「セイザーX」の描く世界だ。


 未来と現代、二つの時間軸を貫いて共鳴し合う意志が、志を同じくする若者達を呼び寄せ、ついに「その時」が来る。
 時空を超えた戦いは始まったばかりだ。




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セイザーXのムック本って、出てないんだよ…