2009年03月06日

三国志 【映画・ネタバレ感想】

 三国志。その壮大な歴史絵巻について、今更多くを語るまでもあるまい。今作品はその映像化作品の一つである。多くの登場人物の中でも、特に際だって魅力を放つ英傑『趙雲』を主人公に、創作を加えた物語。いやむしろオリジナルストーリーと思った方がいい。
 彼の高潔な生き様は、中華の持つ精神の最も美しいものを体現している。






 【ここからネタバレ感想】






 もうロードショーも終わるというのに今更の感想で申し訳ない。てか、つい一昨日見たばっかりだから仕方ないんだけどね(笑)

 一言で言うとなかなか面白かった。個人的には「レッドクリフ前編」よりも余程よかった。
 無名の青年・趙雲が劉備軍に入隊しするところに始まり、諸葛亮との出会いと初めての戦場。そして義兄を庇って関羽張飛との互角に対決した上、主君の嫡子を背負っての単騎駆けと、物語の流れがよい。
 特に義兄弟との対決の殺陣の華麗さは素晴らしいし、単騎駆けは凄まじいまでにフルボッコされながらも、一気に逆転して曹操を追いつめるスペクタクルは迫力の一言。しかもこの怒濤の展開が、巡り巡って後半に生きてくるストーリーも成る程と思う。
 単騎駆けから故郷への帰省のあと、一気に赤壁も入蜀もすっとばして、一気に五虎大将軍として任命されるシーンとなるのだが、こういう思いきりのいいピックアップは好ましい。晴れ舞台の白装束の趙雲のりりしいこと。また後半の悲しい展開を考えると、ささやかな恋や晴れやかな舞台が息抜きのように感じられる。
 高潔で賢く義侠心溢れる趙雲。そして複雑な思いを抱きつつも趙雲を見続ける平安の、人物的な「卑小さ」が、その悲しさが、リアルでもある。非常に人間臭い。趙雲があまりにも超越した存在であるが故に、平安という男が物語の裏側として必要な存在となっているのだ。

 戦いのシーンも、ものすごく迫力があってよかったよ。
 しかしなんでこう、スローモーションを挿入したがるのだろうか。レッドクリフでも気になったんだけど、戦うところで殺陣をしっかり見せたいんだろうけど、私の好みではないところかな。ちょっと私は特撮のスピーディーなアクションを観すぎているのかも(笑)
 それと、時々挿入される仏像のカット… ちょっとテンポがそがれた気がする。あってもなくてもいいんじゃないかあれ?と思ってしまった。メッセージ性は感じるんだけど、多いので気になったかな。

 見た目の話をすれば、前半の若々しい姿もよいのだが、個人的には後半の年老いた趙雲が好きだ。出てきたときの、精悍な表情と目の力強さには、歴戦の猛者を感じさせる。アンディ・ラウはかなり趙雲のイメージに近いキャスティングと思った。
 趙雲だけでなく、オリキャラも史実上の人物も、かなり納得のキャスティング。特に印象的なのは、やはりサモ・ハンだろうか。個人的に、ほんの僅かに出てきた曹操の纏っていた雰囲気が非常によく、それが確実に孫娘に受け継がれているようにも感じられたのも良かった。
 それと、ケ芝。すげーかっこいいんですけど(笑)

 てなわけで、オリジナル展開に「えええ」と思いつつも、結構三国志エッセンスがあって、思った以上に楽しんで観ることが出来ました。レッドクリフの後編は、どうしようかなあ。





SWEET 三国志 (1)

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これは傑作なんだぜ!

 
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2009年02月20日

少年メリケンサック 【ネタバレ感想】

 契約切れ寸前の崖っぷち派遣社員カンナは、Webで一組のパンクロック・バンド「少年メリケンサック」のライブ動画を見つけた。どう考えても好きになれない音楽とパフォーマンスながら、どこか惹かれるものがある。社長の特命を受けて契約に向かったところにいたのは、50歳すぎのおっさん。Webにアップされていた映像は、25年前のものだったのだ。
 しかし先走った社長の独断で、すでに公式ホームページまで出来上がっており、大評判になっていたのだった…
 ハチャメチャなオヤジ達と迷える女の、アップテンポなコメディ。ノリのいい会話!オヤジの加齢臭!最初から最後まで超ハイテンション!パンクな生き方を感じとれ!







【ここからはネタバレ感想】 








 私はスタッフや役者の優劣について論じるのは苦手だ。宮藤官九郎作品にも余り触れたことがない。だから純粋に物語として、映画としての感想を書く。

 セリフの一つ一つは非常に面白いなと思った。テンポもいいし、ノリもいい。そのリズムが独特で、最初のうちはついて行けずにポカーンとしてしまった。でも慣れると大丈夫(笑)
 主人公もちょっとアホっぽくて、でも一生懸命なのが可愛い。そんな彼女がオヤジ四人の中で、四苦八苦する様子が微笑ましいなと思えた。なんせオヤジ達は強面で、しかもクセが強い。その中でもベースのアキオはとびきりの変な男だが、彼のどうしようもない腐れパンクロッカーぶりは魅力的だ。

 では物語は、というと、今ひとつ「ん?」と思う部分も多かった。
 若者だと思ってスカウトに行ったら50歳過ぎのオヤジ。そこまでは面白い。でも、その後の展開はかなり強引。ろくに確認もなく、かってにWebサイト立ち上げて全国縦断ライブまで計画するのは「有り得ん」と思った。
 いや、そこまではコメディだからよしとしよう。でもって最初のライブが、余りに酷いモノだったのも頷ける。しかしその後、三度目の広島のライブでいきなり「ちゃんとやればできる」というのは物足りない。あまりちゃんと練習している風もなかったし、ライブへの決意のようなものは見えたけど、説得力はない。
 このテの「中年サクセスもの」は、その奮起というか再起というか、そういう部分がキモではないのかと思う。なんか「端折られた」感が強かった。それは大げんかしていて来ないと思われた、ハルオがいきなり現れたときもちょっと思ったんだけどね。
 結論としては、この映画は【オヤジのサクセスもの】ではなく、単に【いい年こいて未だに馬鹿たれなパンクオヤジのコメディ】として見るべきなのかな、と。それ以上を求めると、少しがっかりする。カタルシスがない。
 頭を強打した後遺症で車いす生活(の、ふり)をしていたジミーが、いきなり普通になっちゃったのは楽しかったよ(笑)

 序盤から色々な人のインタビューが挿入されていたり、少年メリケンサックのメンバーの過去や結成の由来などが、並行して進んでいる構成はよかった。最初のうちは「???」と思っていたのだが、段々と繋がってきて、最後に「ああなるほど」と思わせてくれた。
 過去と現在が同時に描かれる、というのは、その構成そのものが一つの謎解きでもある。過去のバンドの解散と、現在の彼等の再衝突が、映像の中でシンクロした演出はよかった。また兄弟の回想で、一つのギターを二人で弾いて教えているシーンが、ラストシーンに繋がるというのも洒落ている。

 そんなわけで、真面目にドラマを追うと少々物足りない印象はぬぐい去り難くあるけれど、全体としてノリのいいコメディと思う。一つ一つのコネタを楽しめれば、笑って映画館を出られる。逆にハイテンションについてけないと辛いだろな(笑)





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何故かEDテーマソングは「守ってあげたい」なんだよ(笑)

posted by K at 14:13| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVDなど

2009年02月12日

ベンジャミン・バトン −数奇な人生− 【ネタバレ感想】

 この世に生まれたとき、彼は80才の老人だった。年を経る毎に、段々と若返っていくベンジャミン。そこで繰り返される出会いと別れ。数奇な運命をたどった彼の人生を、美しい映像で淡々と綴った作品。
 人物の年齢により外見の違いは、特殊メイクとCGなのだろうが、どうやって撮影したのか分からない。特に主演のブラッド・ピットには心底驚かされると思う。
 号泣するような物語ではない。作品のテンションは比較的平坦で、しかしじわじわと沁み入るような感動がある。心静かに鑑賞する一作。







         【ここからネタバレ感想】







 老人で生まれて赤ちゃんで死ぬ。その発想の面白さと、どういう物語が綴られるのか想像が付かなかったが故に、早速観に行ってきた。

 普通とちょっと違う人の一生を追う。子供の頃に出会い、すれ違いながらも思い続ける女性がいる。多くの人々との出会いや別れを描く。移り変わるアメリカの様子が見え隠れする。こう書くと「フォレスト・ガンプ」を思い出すし、実際よく似た印象もある。題名も似てるし(笑)なんせ脚本家が同じだ。
 ただ「フォレスト・ガンプ」は、純粋な魂の持ち主の不思議なサクセスストーリーも軸にあり、それが作品にコミカルな色を加えているが、この映画にはそれはない。途中で他の女性に恋をするとか、戦争に参加するとかそれなりに事件も色々あるけれど、どれもフラットな印象だ。唯一目立つのは、ただ一人、ベンジャミンだけが若返る。それだけ。
 しかし、そこにこそ、この映画の良さがあるなと感じた。

 ネタバレ感想、とは書いたものの、この映画を見た後、私に浮かぶのはこの一言だ。




「段々若返る人」がいた。





 人生は、唯一無二。それだけで尊い。





『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』オリジナル・サウンドトラック


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それにしてもすごい合成技術だったなあ…


 
posted by K at 14:55| Comment(0) | TrackBack(3) | 映画・DVDなど

2009年01月30日

バンテージ・ポイント【ネタバレ感想】

 見たかったのにロードショーで見損ねた映画をDVDで鑑賞。

 スペインで開催された国際会議。テロ撲滅を掲げた記念すべきその場で、大観衆の前で演説をしようとした大統領が狙撃され、演壇が爆破された。
 この事件が、視点を変えて何度も繰り返される。最初は中継するTVのクルーとして。次にシークレットサービス、そして地元市警の刑事、観光客… 時間を巻き戻すたびに事件の新たな視点が加わり、その綿密に計画されたテロの全容が明らかになる。果たして物語は、一体何処に向かっているのか。





 【以下ネタバレ感想】





 一言で言えば面白かった!予測の斜め上を行く展開に「おおー」と熱中してしまう。

 テロ犯罪と、犯人を追跡するシークレットサービス、巻き込まれる人々。もしもこれを時系列に描写したのなら、割と単純な物語であり、特に目新しい話ではないのだろう。しかしこの映画の醍醐味は、人物一人の一面的な主観を、何度も人を変えて繰り返し、寄せ集めることで、謎解きの要素を持っている点だ。
 視点を切り替えることで、「あの時のあれ」が、実はこういうことだったんだと分かる。TV中継の段階では「いきなり起こったテロ事件」だったのが、そこに様々な立場から巻き込まれた人々に切り替わることで、次第にその全体像が明らかになる構成は見事。登場人物の切り口によって、受け止めるこちらの感情も変化するのも面白い。
 特にその中で、観光客のアメリカ人の視点がユニーク。彼がこの事件に参加していることで、ただのサスペンスではない、ちょっとヒューマンドラマ的な味付けがされている。平気で見方を殺す非情なテロリスト達が、迷い込んだ少女の為にハンドルを切り損ねてしまう結末と呼応する。

 立場を変えて全貌を知る。「なぜその事件が起こったのか」が明かされる。一つの「事件」が「物語」となっていく過程がそこにある。





DVD バンテージポイント コレクターズ・エディション
(2009年2月25日発売)


希望小売価格: 1,980円 (税込)
販売価格: 1,520円 (税込) 送料別
発売日以降お届け

アニメや特撮のDVDって、なんであんなに高いんだろう…
 
 
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2008年12月26日

トミカヒーロー レスキューフォース爆裂MOVIE 【ネタバレ感想】

 思う以上に面白く、存分に楽しめた!
 …なんて言っては、もしかしたら製作に関わった方々には申し訳ないのかもしれない。でも、誤解を招くことを恐れず声を大にして言いたい。面白いぞ!この映画は面白い!!と。
 基本は子供向けの特撮番組の映画なので、そのレスキューはかなりぶっ飛んでおり、リアリティがあるかと言われると首を傾げる。それを「子供だまし」と一笑に付してしまう輩には、この映画の本当の良さは分からないだろう。前哨戦的な位置づけの同時上映「爆走!トミカヒーローグランプリ」、そして本編「トミカヒーロー レスキューフォース爆裂MOVIE」、どちらも子供達のワクワクと熱い気持ちがぎっちり詰まった最高に愉快な映画だ。
 どうか頭を空っぽにして、画面一杯に広がる「男の子の夢」を満喫して欲しい。





 【ここからネタバレ感想】





 これは予想外!恐ろしく楽しい作品に仕上がっていた。そりゃもう、ぶっちゃけ有り得ねー!ってことやってるんだけど、その荒唐無稽さがケレン味を通り越して、夢を描き出している気さえした。

 世界一周・夢の超特急が乗客を乗せたまま暴走する。そんな危機的シチュの中、決死のレスキューをしようと頑張るレスキューフォースの活躍。
 TVシリーズでは毎回、質の高いCGを楽しませてくれるが、映画版は更にスケールアップしていた。しかも活躍するビークルの見せ場が、どんどんスケールアップしてくる。謎の男の登場とド派手な着装。その男がビークルを呼び出して、5つの大岩同時撃破。ライザーを使った暴走特急への飛び乗り。そして新たな空飛ぶビークルの登場…
 とにかくその一連の流れが、途切れなくボルテージを上げ続けてくれること!最後の空中合体から華麗な空中戦の美しさには目を見張った。ほんとにかっこいい!そんな気持ちが溢れてくる。

 そして、レスキューフォースの面々が、人々を助けるために懸命に頑張っていること、その仕事に誇りと喜びを持っていることが、ちゃんと物語から伝わってくるのもよい。「君にも勇気がある!」と、ストレートに訴えてくる。そしてその勇気が、不可能を可能にするのだと。
 謎の男、藤岡弘、(笑)意味深な登場と案の定の正体。お祭り映画的で楽しかった。生身アクションは武道っぽかったね。装着したら急にスマートになった気もするけど、それもよし(^^;;; 南キャン山ちゃんはMAD感とコミカルさが同居していていい感じだった。あの男なら、大破したメカの中から黒こげで脱出しても許されるね(笑)

 熱い展開はもちろんだけど、序盤で「レスキューフォース」らしいユルいギャグがあったのも楽しかった。特にチケ争奪戦は「あーやってるやってる、レスキューフォースだなあ」みたいな感じを保ちつつ、なかなか笑えた。特にお気に入りは武闘対決での、レイのセリフと容赦ない裏拳(笑)
 また、話は前後するけど「トミカヒーロー レスキューフォース爆裂MOVIE」もハイテンションで気分を盛り上げてくれた。石黒隊長が無駄に肉体美を披露するのも一興(笑)
 そして思わぬプレゼントになったのが、リュウケンドートリオとレスキューマックスの敬礼。カメオ出演の噂は聞いていたけど、あのシーンは「おおおー」と思った。ヒーロー同士のエールはいいね。そう言えば公務員なんだよこの人達!(笑)

 ゲストキャラの女の子は、物語へのクドすぎず嫌味のない絡みで、しかしテーマに関わってくるいい按配だった。OPでいきなりレスキューフォースが踊り出したときは何が始まったかと思ったけど(笑)こういう筋立てだったんだなあと。
 ラストのダンスはとても爽やか。レスキューフォースの面々が本当に楽しそうで、踊っている生き生きとした笑顔が最高だった。

 いやー、ほんとに楽しかった!帰り道、頭の中にレスキューフォースの主題歌が鳴り響いて、なんか幸せな気持ちで家路についた。その魔法がかかったまま、今も解けない。
 幼い頃にこういう映画を見るのは幸せなことだ。夢と勇気をもらうだろう。しかし大人になってから、こんな映画に心を躍らせてみるのもいいのではないだろうか。




レスキュービークルシリーズ DX レスキューダイバー


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もうこの合体変形すんげえぇぇぇかっちょえかった!

 
posted by K at 21:46| Comment(2) | TrackBack(5) | 映画・DVDなど

2008年11月13日

レッドクリフ Part1(赤壁) 【ネタバレ感想】

 三国志演義の中でも、大きなターニングポイントとなった「赤壁の戦い」を描いた大作の前編。
 巨大な帝国の進軍を前に、それに相対する二人の君主を支える軍師の活躍が、この映画の軸となっている。圧倒的な戦力差を前に、智恵と少数精鋭の武勇でどう戦うのか?そこに友情は生まれるのか…
 三国志を全く知らなくても、最初の数分で「これまでのおなはし」みたいなのをダイジェストでやってくれるから大丈夫。でも大きく盛り上がるところで「つづく」になるから注意のこと(笑)

 で、こんな感じ。スターウォーズ・帝国のテーマで歌いましょう!

 帝国はとてもーつよいー♪
 戦艦はーとてもーデカいー♪
 奸雄曹操はわるい♪劉備は君子♪孫権はボンボーン♪






 【ここからネタバレ感想】





 ぶっちゃけでいいですか?いやほんとごめんなさい。

 私は余り面白くなかったな… 2時間半が苦痛だった。お尻が痛くなったし。なんでこんなに長いのか不思議。多分、私が監督の演出というかカット割りが、あまり好みでないというか相性が悪いのは大きいんだと思う。戦いのシーンですら冗長に感じたもの。普段からスピーディーなアニメや特撮の見過ぎなのか(^^;;;
 でもさ、中国のドラマ「三国演義」も見たけど(南蛮征伐あたりでDVDレンタル挫折中・笑)、あれはあれで面白かったんだよ?あんなまったりしたドラマなんだけどさ。だから逆に不思議。うーん、なんでだ。
 これってもしかして、欧米版の三時間作品の方がテンポよく見られるんじゃないの?と思う。戦いのシーンは、楯を有効に使った陣形が面白かったし、各将軍の見せ場はよかったもの。
 でもなんちゅーか、三国志の個人的な一番のキモは私、忠義の心!みたいな部分なのよね。それがなかったのはとても残念。最初の趙雲の単騎駆けくらいかな。

 とりあえず、私的には曹操の描写が不満だ!
 赤壁の戦いがメインなので、帝国vs小国という構図を出したのはいい。大河を埋め尽くす戦艦の画は圧倒的だった。だったらそれらを率いる曹操にも、それなりの魅力を出さないと危機感がない。
 見た目は史実そのままの小男(笑)いや、実際の曹操って小さくて軽い男だったらしいんだよ。だからあのキャスティングはいいと思う。ただ、「美女を手にするのを目的として」みたいなのが余計。ただのエロ爺になってしまう。軽そうな小男が、実は兵法に精通し、虚実で揺さぶり、唯才を掲げ改革を行い、後生に讃えられる詩を詠む。それだけの魅力と大きさがあるから、曹操は恐いんだよ。それを全く描いていないんだよね。
 一人の美女を得るために軍を動かす。それもありだろう。でもそれをやって説得力を持たせるなら、君主の見た目にもハッタリ咬まさなくちゃ、バランス悪い。ラオウみたいなさー(笑)

 周瑜も、個人的にはイマイチだったな。いや、これも本当に私の主観で申し訳ないんだけど、孔明の金城武が美しすぎるのだよ。三国志の中でもトップクラスの美形は、周瑜や趙雲のはずなんだけど、何故か彼等よりずっと孔明がいい。マジで金城武ってこんなに美形だったのかと、思わず刮目してしまったさ。彼と比べてしまうと、美周郎が霞む。ただ、知謀と武勇と人徳を兼ね備えた、呉軍を担う司令官としての描写は良かった。
 で、その孔明はと言うと、なんとも真摯で真面目な孔明だった。駆け引き上等の黒さが微塵もない。ある意味新機軸な人物解釈(笑)
 周瑜と琴のセッションで語り合う、っていうのはなかなか面白かったな。二人の関係も今後は決裂していくわけで、後半でどう描くのかは興味のあるところ。

 徳と志は高けれど敗走を余儀なくされている劉備と、未だ大きな戦を経験したことのない若き君主、孫権。彼等のキャラ付けは古典通りというか、いいんじゃないかと思う。孫権は特に初々しくてよかった。張飛は一番イメージ通りだったなー 関羽は、中国ドラマの方が関羽!って感じだったか。

 でもって、これ、三国志演義そのものでもないんだよね。甘興とかオリキャラ出てくるし。ストーリー展開も色々と… どうやら後編はまた、色々違ってくるらしいよ。やるからには中途半端ではなく徹底して欲しいな。
 どっちにしろ、お膳立てした状態で「つづく」だから、見所は全て次回。情報戦に苦肉の策、派手な火計は見られるのか。オリジナル展開はそこにどうからむのか。でもってホウトウでてくるのかなあ(笑)

 それから私は、曹操贔屓の蒼天航路厨なので、この映画に関してはちょっと辛口なのは仕方ないんだよ!(^^;;;




レッドクリフ PartI オリジナル・サウンドトラック


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2008年11月06日

劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン 【今更感想】

 強いということ。信じると言うこと。ヒーローものとしての基本を押さえつつも、深刻になりすぎず燃えはきっちり。そしてちょっと笑えてほろりと出来て、キャラの掛け合いの妙が満喫できる。そんな「仮面ライダー電王」としての魅力がふんだんに詰まった映画。
 正直、春の映画「クライマックス刑事」が少々アレというか、かなりユル目の作品ではあったので、あまり期待しないで見に行った。しかし予想以上に面白く、「ああ楽しかったなあ」と素直に言える作品に仕上がっていたと思う。




【もうネタバレもへったくれもないけど、一応ここから下はネタバレ】




 ギリギリで見に行って、忙しくて感想が書けずにいて、今更ながらの感想になってしまった。

 今回の映画は、やはりきちんと悪役である死郎の行動の動機、その狙い、行動の結果などが描かれていたのが、物語の軸として大きく存在していたのがよかった。「時間をひっくり返す」というのが、何のことだかよく分からなかったのだが、オチになって初めて「特異点自身による先祖殺し」であることが分かる。その辺のところをゾウでかき回したり、人情系のエピを繋げたりで、巧妙に隠して最後まで行く辺りは心憎い。
 もう一つの軸である幸太郎の物語も、彼の良太郎への反感や悪びれた態度の理由などが、ちゃんと描かれていたのもポイントが高い。彼も物語の中で成長し、ラストシーンで未来に戻って「ただいま」を言うシーンまで、きれいにストーリーが一つ出来上がっていた。

 また、時間配分がよいというか、アクションにかなりたっぷりと時間を割いたのもよかった。特に江戸の街の中で、イマジン達が大暴れの立ち回りをするシーン。建物壊しまくりの大乱闘で盛り上がって、追いつめられる→モモタロス危機一髪→俺参上!の詰め方は、かなり気持ちがいいというか、感動すら覚えた。その後、全員登場の変身ライダーバトルになるわけで、こういう特撮的な燃えを満喫できるのはファンとしては嬉しいことだ。
 新ライダーがカウントダウンで敵を倒すとか、死郎がコマを武器にするとか、新キャラの戦闘面での工夫も、なかなか良かったと思う。濃い連中だらけの電王で、新キャラのイメージを上手く描き出していた。

 幸太郎は初々しかったね。最初はムカツク奴だったのに、段々素直になるのもよかった。アフレコがなかなか上手くて感心したぞ。テディは礼儀正しくしっかりしたデネブというか(笑)、執事っぽいのね。彼等のコンビの今後も見てみたいなあ、なんてうっかり思ってしまって、いやいやそれは東映の思う壺だ!なんて思い直したりして。
 死郎は悪役として圧倒的な存在感があり、その見た目も凄味と美しさが同居した、かなり魅力的なキャラだった。松村雄基、やっぱいいなあ。ソラは、死人のイメージとしてはちょっとほっぺがふっくら(笑)幼い感じと、少しハスキーな歌声はとてもよかった。特にあの歌は劇中でもかなり印象的なので、もしかして歌声ありきのキャスティングだったかも。

 電王の掛け合いの面白さは相変わらずで楽しかった。個人的にはお姉ちゃんの取り巻き二人(尾崎&三浦)が、ちゃんと出てきたのが嬉しかったよ。でも江戸時代からあーだったのか、と思うと少し悲しい(^^;;;
 EDも、なんか味わい深いものがあったな。もうちょっとファンが「おお」と思うシーンを、各キャラそれぞれで沢山選んで欲しかった気もする。私的には最初の方に出てきた「ケンカしません」「ナンパしません」のインパクトが強すぎて、あとが弱かったなーって思ったかな。

 劇場は、もうすぐ上映終了ってときだというのに子供達が沢山!あとは大きなお友達も沢山!(笑)隣の女の子が号泣していたぞ。…その気持ちも、ちょっと分かるかな…私は泣かなかったけどね。





いーじゃん!いーじゃん!スゲーじゃん?!【CD+DVD】


価 3,150円 (税込)
S-プレミアム価格 3,000円 (税込 3,150 円) 送料込
DVDには4イマジンの完全撮り下ろしミュージック・クリップを収録。

このミュージック・クリップはちょっと見たいな。
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2008年10月09日

パコと魔法の絵本 【ネタバレ感想】

 あたたかいファンタジー映画。この映画の予告やCMを見たことがあるだろうか。全編あんな感じと思って間違いない。演出も画面もキャラクターもみんなカッ飛んでいるが、物語の筋はものすごくオーソドックスで構成もしっかりしている。
 何故そう思ったのか分からないが、観ていて「舞台っぽいなー」と思った。帰って調べてみたらやはり、「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」という舞台の映画化なのだそうだ。舞台という固定された空間を生かした表現を、真逆に突き抜けた映像演出。全編が絵本仕様になっており、現代のおとぎ話を紡ぎ上げた。
 この演出には好き嫌いがあるかも知れないけれど、なかなかの感動作。子供向け映画のようでありながら、大人がその純真さに触れて泣ける、そんな映画の仕上がりだ。





 【ネタバレ感想】




 偏屈爺が、少女の無垢に触れ、絵本に自分を重ね合わせて、優しい心に目覚める話。「サマー・クリスマス」という言葉が出てくるように、名作「クリスマスキャロル」を意識した物語ではあるのだが、目覚めるきっかけである少女が本当に愛らしく純真で、老人の変化に説得力がある。同じ病院のワケあり入院患者達が本筋に絡んでくるのも、うるさすぎないバランスで丁度いい。構成が巧みだと思った。

 物語のきっかけとなる少女の、キャスティングと設定がよかった。正に天使のような美少女。登場したとき、金の粉がきらきらと舞っていたけど、夢のようなかわいさだった。絵本を読むときの声も、演技も最高だった。
 パコは両親が亡くなってひとりぼっちという悲劇にありながら、誕生の祝福と愛を全身に纏っている。悲しいことは全て忘れており、毎日を新鮮で喜びに満ちた7歳の誕生日の朝で目覚める。その輝きが彼女の美しさを際だたせている。そして彼女が絵本を毎日読んでいる理由が、「ママの愛情を信じ切った子供」を感じさせて泣ける。
 これほど美しい存在に触れてしまえば、心の黒雲など涙と共に吹き飛ぶよな…と思わされる程、無垢なのだ。

 問題の「絵本」のストーリーは、物語中盤までの絵本を読むシーンで細切れになっていたのが、お芝居をすることで初めてその全体像が分かる。これは上手いなと思った。
 それがまた、かなり悲劇的な、全滅エンドの物語(笑)でも途中のセリフとか、胸が熱くなるんだよ、それも特ヲタ的には!ダークヒーロー物語というかさ。
 お芝居をするシーンになって、絵本のCG再現が巧に織り込まれてくるが、面白いと同時に「パコのイマジネーションの視点」を感じさせた。ラスト近く、パコが手を伸ばす先で見守る人々が、その時のキャラクターの姿をしているシーンでそれが生きる。大貫の願いがパコの心に届いたのが、あの1カットで見えてくる。

 徹底的にデフォルメされた映画の中で、それぞれのキャラクターが生き生きとしていた。個人的には金髪に悪魔メイクの看護婦の女の子が好きだ。
 語り部の男。ワケあり患者の中でも、何の病気で入院しているのか分からない。お芝居の中でも役が与えられていないのに、妙に仕切って活躍してしまう。存在理由の分からない男が、実はこの絵本の原作者でしたよ、というオチは楽しいね。

 ハートに直球で投げ込んでくる原作を、超変化球(ぶっちゃけ魔球)で演出したエンターテイメント。いやー泣いた泣いた(笑)




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てか、あの絵本が欲しいよ!

 
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2008年10月03日

ゲキ×シネ「メタルマクベス」感想

 劇団☆新感線の公演を、映画館で観た。
 お恥ずかしながら、私は今まで劇団☆新感線のお芝居を観たことがない。演劇に音楽が融合したクオリティの高い舞台であるという評判は知っていたし、それが自分にとってものすごくツボなのも分かっていたのだけど、今までその機会がなかったのだ。
 演劇を映画で観る。そんな特殊な形態の作品であることについては、言及する言葉を私は持たない。
 でも少なくとも、ライブDVDとどう違うのか?と言われると、圧倒的に音だろう、とは言えるかも知れない。ヘヴィメタルの演奏が激しくかき鳴らされる映画館の中。この音の印象だけで、伝わってくる熱が全く違う。ちなみに私が観た映画館では、その音は激しくはあったがうるさくはなく、丁度いい按配だったのが嬉しかった。






 さて、いつもならここでネタバレ感想、と言いたいところだが、ぶっちゃけネタバレもへったくれも、かの有名なシェークスピア悲劇「マクベス」だ。ストーリーを知らずに観る人の方が少ないのではないか。
 むしろ、あの、「マクベス」を。どうヘビメタの音楽と合わせるのか。ストーリーをどの程度いじってくるのか。その辺がキモなのではないかと思いつつ鑑賞。
 時代を荒廃した未来に設定+メタルでなんとも世紀末覇者!みたいな世界観。確かにこれなら、すんなりとメタルが物語に乗ってくる。ここに1980年代のバンド「メタルマクベス」が重なってくる二重構造のストーリーにアレンジされているのが独特。
 前半は…ものすごく長く感じた。なかなかストーリーが進まない(笑)80年代のバンド話が、元来の物語の正反対のベクトルで進行しているのも違和感。キャラは全体的に明るく作られており、そこはとてもよかったと思う。
 それが後半になって、二つの時代の物語が沿ってきてからは面白くなる。物語が一転して暗く恐ろしくなっていく。全編に流れる音楽の激しさが、登場人物のギリギリの心理をえぐるようだった。コレだけど派手な演出では、森が動いたくらいではスペクタクルでもなんでもねーかもな!ってところを、予言とその結末を変えたのはアリだよなと思った。
 しかしどうしてあんな二重構造にしたんだろう。過去編がなくても話は通じる気がするのだけど。そしてマクベス内野とローズは、あれからどうなったんだろうか…
 あと個人的には松たか子という女優の底力を見せ付けられたぞと。素晴らしくいい声。表現力の緩急もよかった。この舞台、彼女の紡ぎ出す情念が引っ張っていたな。あと冠さん、歌上手かった!生き残って嬉しかった!!(笑)


 それにしても作り込んだ舞台。練られた演出。隙のない音楽。こんなの毎回上映しているんですかこの劇団☆は… 友人の評価が高い別作品も是非見てみたいので、またうちの地方にも来て下さい。





SKOMB/劇☆メタル(SHINKANSEN☆METAL☆TRIBUTE)



実を言うとヘビメタは苦手だったんだけど、よかったよ!

 
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2008年10月02日

崖の上のポニョ 【ネタバレ感想】

 見終わって素直に言えば、面白かった。面白かったような気がする。
 そして感想を聞かれると、正直「うーん」と悩む。
 しかし、一つ分かっていることがある。これは【アニメーション映画】だ。
 可能な限り単純化された線と、余り陰影のない色のキャラクター。独特の風合いのある背景。一見絵本のようなテイストなのだが、それら全てが有機的に動く。絵が生命を持っている。圧倒的な表現力。口惜しいけどやはり、宮崎はすごい…




 【以下、ネタバレ感想】



 いやマジで。本当に感想に困る。
 なんかね、夢っぽいと思った。誰かの見た夢を、映画にしてみせられているような感じ。

 心の問題を解決するために、ユング派の心理療法で夢判断というのがある。夢ってあまりよく覚えていないけど、目的意識を持って、カウンセラーに報告するつもりで夢を見ると、それなりに鮮明に深い意味のある夢を見られるようになるらしい。
 この「崖の上のポニョ」は、そんな治療中の相談者が、自己回復の過程で見た夢じゃないか、そんな印象。

 その夢の中で相談者は、性的に未分化な5歳の男の子だ。
 ある日、海の底からやって来た女の子と出会う。彼女は魚であり、元来は"海"という無意識界の住人。すなわちユング心理学でいうところの女性原型(アニマ)の未発達な状態だ。瓶に詰められ瀕死の彼女を救い出し、男の子はポニョと名付け、彼女を守ることを誓う…
 そんな風にこの物語を見ていくと、色々納得出来るのだ。物語を動かす上で必要と思われる説明が省かれているのも、ポニョを誰も不思議がらないのも、海に水没した街に死の陰がないのも、物事が全て宗介とポニョを中心に動いて世界がバランスを失い、取り戻していくのも。

 相談者はこの夢の中で、大いなる再生のプロセスを歩む。
 水没した街は、生命の魔法が溢れる古代の海。それこそは集合無意識の持つ巨大な命のうねりであり、一つの終わりと大いなる復活へのはじまりだ。そしてそこに偉大なる母性、グレートマザーが現れる!夢判断的には出来すぎだよ、と。
 5歳という年齢も絶妙だ。自他の区別なく無意識に近い状態で生まれてきた赤ちゃんの時代を卒業し、ようやく自我が芽生え始めた時期。異性を知り、しかし性欲はない。彼等の愛情はエロスの関与しない、精神的な結びつきということになる。純粋に、宗介はポニョが好きで守ってあげたいのだ。
 そしてそれは同時に、相談者が必要としているのは、自らの中に抑圧している女性原理的な優しさや愛情、生命力、育む力だということを意味している。抑圧して未発達なアニマだから、ポニョは魚であり人のままだ。相談者は、自分の無意識領域の女性原理・アニマを全存在的に愛し、守り、育てるという誓いが必要とされているのではないだろうか。

 しかしこの作品、正しく【アニメーション】であると思った。
 絵に生命を吹き込む、という意味で作られた言葉、アニメーション。その迫力に圧倒される。アニメーション体験、と言ってもいいかも知れない。
 CGを使わないで、手で描かれた絵。同じ内容でも、コンピューターが描いた絵ではこの迫力は出ない。ポニョが彼方から書けてくる海は、「生きている」海だからだ。この作品全体を支配しているのは、この古代から連綿と続く生命のソースである海であり、現代人が抑圧しているなにかの象徴だ。大画面一杯にうねるようにせまってくる水に、力と、感動と、恐怖を感じる。

 そして映画館を出た私達は、ふと気が付くと口ずさんでいるのだ。
 「ポーニョポーニョポニョ さかなの子♪」



 とまあ、ユングの本なんて少しくらいしか読んだことのない素人ながら、そんな風に感じたわけですよ。
 でもって、さっき「そうすけ」ってどんな漢字だったかな〜と思って公式サイト見てみたら、宮崎監督がこうのたまっておられる。

 「少年と少女、愛と責任、海と生命、これら初源に属するものをためらわずに描いて、神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである」

 ……うーん、宮崎監督程の表現者になると、時代に生きる人の夢をトレースしたのか?
 つまり、上の例えで言うところの「相談者」というのが、男性原理的な競争社会に生きる現代人ってことでさ。
 もしかして私のこの印象、いいとこついてる?(笑)





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この曲の洗脳力は半端ねぇ…
posted by K at 23:10| Comment(0) | TrackBack(4) | 映画・DVDなど