2008年09月09日

仮面ライダー龍騎考・おまけ

 長い長い龍騎考察を読んで下さった皆様、ありがとうございました。
 仮面ライダー龍騎は、私が子供を通して、25年ぶりに再開した特撮でした。だからついつい、思い入れ深いんです。

 で、キャラ考察のついでに考えたいろいろ。




ヒーロー番組としての区分け

●真司−蓮  …「人間→ヒーロー」
●北岡−浅倉 …「非人間→人間(ヒーロー)」




人付き合いのタイプの区分け

●真司−北岡 …人なつっこいイヌ系
  (ただし真司は小型の雑種、北岡は血統書付きの大型)
●蓮 −浅倉 …ロンリーなネコ系
  (蓮はノラの黒猫、浅倉はイリオモテヤマネコ)




思考パターンの区分け

●真司−浅倉 …本能行動直結型。
        モノ考えない。理解もし合えない。
●蓮 −北岡 …考えてドツボ型。
        同族嫌悪しかもハリネズミ。実は共感。




対立構造

●真司 ←蓮 「そんなこと分かってる五月蠅い馬鹿」
    ←北岡「お前分かってないよ五月蠅い馬鹿」
    ←浅倉「馬鹿」

●蓮  ←真司「戦いやめろよ!友達だろ多分」
    ←北岡「青臭いよ!覚悟が足りないよ」
    ←浅倉「?」

●北岡 ←真司「戦いやめろよ!嫌な奴だけど…嫌いじゃない」
    ←蓮 「そこまでやるか貴様最低…痛い所突かれる」
    ←浅倉「北岡!…俺と戦え!」

●浅倉 ←真司「戦いやめろよ!お前も人間だろ」
    ←蓮 「お前人間じゃない」
    ←北岡「こいつヤバすぎ。なんとかしないと」




オチ?ないよそんなのオマケだもん!(笑)




Dancin' RIDERS(13+1)〜ココロオドル【やや高画質ノイズ有り】

 

2008年09月05日

仮面ライダー龍騎・13 祈り(完結)

 結局戦いを終わらせることを決意したのは、ゲームマスターである神崎だ。それについては、主役である龍騎が直接物語の終結に関与しなかったことが、ヒーロー番組としては相応しくないという考え方がある。
 しかし私はそうは思わない。

 ミラーワールドにモンスターを創り出し、仮面ライダーと呼ばれる戦士を選んだのは神崎士郎だった。彼の哀しくも純粋な「妹を生き返らせたい」という願いが、全ての始まりだった。
だから全てを終わらせるのは、神崎であって当然であり、そうでなくてはならない。物語の始まりが深い悲しみならば、それを無理矢理断ち切ることは解決にはならない(SPでコアミラーを壊しても、戦いは終わらなかったように)。その悲しみを癒すことこそが、本当に物語を完結させることに繋がるからだ。

 あの最終回を「夢落ち」とか「それまでの全ての戦いをリセットして終わり」と言う人もいるが、それは違うのではないだろうか。戦いがあったからこそたどり着けた、戦いのない世界なのだ。


 何度戦いを繰り返しても、兄の願いを拒む優衣。
 優衣はまた、二十歳の誕生日を目の前にして、自らの意志で粒子化して消える。だがまだ戦いを続けようとする神崎に向かって、「優衣ちゃんの気持ちが分かってない!」と叫んだ真司の思いが、暗い心に風穴を開けたのかも知れない。自分に疑問を持って初めて、闇に閉ざされた心に光が差したのかも知れない。
 その言葉が神崎の心に届いたのだとしたら恐らく、ライダーバトルが繰り返された長い時間と、真司の放った言葉の力のせいだったのではないだろうか。修正を繰り返すたびに少しずつ重ねた絶望が、頑なな心に隙を作っていた。戦いに思い悩んだ真司の心からの言葉には、彼の苦悩に相応しいだけの力があった。

 だからライダー達の繰り返した葛藤や苦悩には、無意味なものは一つとしてないと、私は思う。
 その戦いの一つ一つが紡いだ時間が、全てのライダー達の思いを受け止めようともがき続けた馬鹿な男の苦悩が、最終的に世界を救うのだ。
 「優衣ちゃんの気持ちが分かってない!」あまりに単純で普通のセリフだ。しかしこのセリフの重みを知るためには、彼がこれまでどれ程もがき苦しんで来たかを知り、彼の思いに共感していないと分からない。その言葉の力を真に受け止めるためには、ライダー達の戦いを見守っていなくてはならない。

  
 私はあの最終回、暗い部屋で絵を描いていた幼い兄妹のまわりが、ぱーっと明るくなってそこに笑顔の士郎と優衣が来て絵を描くシーンは、それまでの戦いを経て初めて開かれた世界なのだと思う。
 それまで一度も笑ったことがなかった神崎士郎の安らかな笑顔。エゴによる戦いは、他愛への祈りで幕を閉じる。



 「仮面ライダー龍騎」という物語を通して体験し、その中に巻き込まれることで、あなた自身もその【物語の一部】になっていく。
 SPの中でベルデ・高見沢は「人間はみんなライダーなんだよ!」と言う。確かに私達は、常に自分のエゴに振り回されて戦っているライダーだ。だからこそ共感する。悩み、迷い、それでも戦い続けるライダー達に。
 人はやはりエゴで生きると傷つくだけであり、それを癒すのに必要なのは、より大きな愛の力なのだろう。



 戦いの悲惨さを描きながら、「それなら人として生きるにはどうすればいいのか?」と問いかけてくる「仮面ライダー龍騎」。

 そこに流れている大きなヒューマニズムへ至る道は、私達に何かを語りかける。




ー仮面ライダー龍騎考・了−       

長々と失礼しました。
ちょっとだけオマケがある予定(笑)






仮面ライダー龍騎 Vol.12(完)


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それまでのTV45話、映画、SPと、全ての物語を見続けたなら
この最後の戦いを見届けて欲しい。

2008年09月03日

仮面ライダー龍騎・12 ヒーローとして

 ライダー達がそれぞれ、自分なりの願いや野心を持って戦っていた「仮面ライダー龍騎」の世界。戦いを作り出し、煽っていた神崎士郎でさえ、自分の最愛の妹に命を与えるため、という悲しくも切実な願いがあった。
 そして戦って、戦って、結局最後に彼らが得たものとは何だったのか。

 この空しい戦いを止めさせたくて、しかし全ての人の思いを飲み込みすぎて自分の本当に望むものが何か分からなくなって、やっと掴んだ答えを前に逝った城戸真司。
 かけがえのない人のために戦い、その命を得るものの、自分自身の命を落とす秋山蓮。
 ただもっと生きたくて、自分を偽って戦い迷い、結局は運命を受け容れて死ぬ北岡秀一。
 戦いを望み、戦いを喜び、でも最後に望んだ北岡との決着はつけられぬまま銃弾に倒れる浅倉威。
 道を踏み外し、そのまま力に飲み込まれてしまった須藤雅史。
 自負故にゲームメーカーを演じ、トリックスターに計算を狂わされた芝浦淳。
 破滅へと至る運命を変えるために戦いを挑み、一筋の希望を己の命と引き替えにした手塚海之。
 より大きな力を求めつづけ、ついに戦いに果てた高見沢逸郎。
 思いの強さ故に自分の行くべき道に迷い、過ちを犯してしまった東條悟。
 幸せになりたかっただけのに、その手段を誤った佐野満。
 復讐のために戦いの道を選び、思いを遂げるも別のライダーに倒される霧島美穂。
 ライダーの戦いを傍観するだけで「何も出来なくていい」と先生に言われていたのに、結局ライダーとして戦って死ぬ由良吾郎。
 ライダーバトルを操っていた神崎士郎も、戦いで得た命が優衣に受け入れられることはなかった…


 繰り返されたライダーバトルは全てバッドエンドだった。それは映画とSPに暗示されている。エゴのぶつかる戦いがもたらすものは、空しい。
 では、その戦いを終わらせる力とはなんなのか。
 それは「みんなが幸せで笑っている世界でありますように」という「祈り」なんだよ、というのが、仮面ライダー龍騎の物語が導き出した結論だ。「願い」から「祈り」へ。エゴから他愛へ。これはエゴを主体とした「個」である存在の人間にとって、非常に大きなパラダイムの転換なのだ。

 そして実はこの「祈り」こそ、ヒーローの持つ「善」なる精神の一つの表れなのではないかと思う。
 人々の自由と平和を心から祈って止まない強い精神。誰もが心の奥で憧れ、しかし気付かないふりをしている高貴なヒーロースピリッツ。いや、現代の風潮は、そんなものを振りかざしていたら逆に「お前は馬鹿か」と言われてしまうのかも知れない。
 そんな逆風の中で、迷い、悩んでいた仮面ライダー龍騎の主人公、城戸真司が「ライダーとして」死ぬ間際に見つけたもの。

 「やっぱり戦いを止めたい」

 彼は間違いなく、ヒーローなのだ。




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この戦いも多分全滅エンドだったんでしょうね…

 

2008年08月20日

仮面ライダー龍騎・11 神崎士郎

 己の願いと人の命を天秤にかけ戦う「仮面ライダー龍騎」。
 その裏側には、様々な願いや願望を持つ人間にデッキを渡し、戦いを煽ってきた男、神崎士郎がいた。

 本来なら愛と安心を与えてくれるはずの親に虐待され、(恐らく)屋敷の部屋に軟禁された状態だった兄妹。その狭く閉じた世界の中でお互いだけが支えであり、それが世界の全てだったのだろう。神崎にとっては他者というのは道具に過ぎず、優衣、彼女だけが人として生きるべき存在だった。
 「僕を一人にしないで」と、優衣が死んでしまったあの日から、神崎は心の中で叫び続けていたのだろう。
 結局、「龍騎」におけるライダー達の戦いもモンスターの悲劇も、悲しいエゴが作りあげたものだったのだ。

 神崎の最終目的「妹に命を与える」が果たされるまで、繰り返されるライダーの戦い。
 似たような状況、同じ様なシチュエーションはあれど、その結末は一つ一つ違っていたのだろう。それは映画とSPが物語っている。戦いを煽られ、ライダー達はその中で足掻く。戦いは何度繰り返されたのか不明だが、分かっているのは「最後のループ」と呼べるのはTV版の最終回であると言うことだ。
 この繰り返される戦いと、前の戦いの記憶は全くなくなってしまうのだが消え去ってしまうわけでもない、という不思議な蓄積の仕方をするところが、輪廻転生を思わせる。何度も何度も繰り返すことで、エネルギーが一つの頂点に達したのだろうか。最後のループに生き残った4人のライダー達は、それぞれが目指した最高のスピリットに到達して、その戦いを終えている。

 そして、神崎は優衣の死を受け入れることで、初めて彼は孤独から解放される。「みんながしあわせになりますように」という優衣の祈りを、自分のものとするのだ。
 そこに至る多くの葛藤と繰り返された時間があったからこそ、彼の深い悲しみが癒えたのではないだろうか。



 龍騎というのは基本的には殺し合いの、非常に殺伐とした物語であり、どちらかというとヒューマニティからはほど遠く見える。
 しかし、ヒーロー番組としてはとんでもないこのテーマに、番組のスタッフはそれこそ必死で立ち向かったのだろう。最終的に登場人物達は、自分たちのこころを取り戻し、しかし死んでいくのだ。




仮面ライダー龍騎 スペシャル 13RIDERS / 特撮


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全員がやる気満々のループもあったんだろうか。

2008年08月19日

仮面ライダー龍騎・10 たどりつく境地

 「龍騎」という作品に出てきて、強烈な個性を放った4人の主役ライダー達。彼等は「強いモノが勝ち残り願いを叶える」というエゴイズムが支配する戦いの中で、自分が胸の奥に抱き続けていた【本当の思い】に目覚めていく。それがこの特撮作品の、ヒーロースピリッツの顕現でもあった。

 あなたは「仮面ライダー龍騎」の4人のライダーで、深く思い入れた人物はいただろうか?
 例えばヒーロースピリッツから一番程遠い浅倉に、一番感情移入していたとしても、物語を見続けることで否応もなく他のキャラクター達の苦悩や葛藤が飛び込んでくる。それらは決して乖離することなくあなたを巻き込んで、クライマックスに突入する。


 病室で北岡が「城戸はどうした?」と尋ね、「相変わらずだ」と答える蓮。そこに流れる雰囲気に、真司が今まで叫び続けてきた「戦いをやめろ!」という言葉が無駄でなかったことを嬉しく思ったのではないか…

 からっぽの法律事務所に唖然とたたずむ浅倉。そこに何か今までと違う感情を予感しなかったろうか…

 死に行く真司に向かって「お前こそ死ぬな!」と、心の中で蓮の叫びに共鳴しなかったか。そして例えようもない喪失感の中、それでも最後までライダー達の戦いがどうなるのか見守ろうと、最終回を迎えなかったか…



 龍騎、ナイト、ゾルダ、王蛇。彼等の作りだした大きなドラマのうねりの中で、私達は4つの視点から同時にこの戦いの世界に参加させられていたのだ。

 不器用で未熟なヒーロースピリッツとそれを持ち続ける勇気。
 静かに胸の内に抱く愛、それを貫き通そうとする意志。
 己の限界と弱さを受け入れる、慈悲ある知性。
 衝動的で何ものにも囚われない自由、そして愚かさ。

 互いの命と命を賭けた戦いの中、彼等は自分自身の深い心の中に真っ直ぐに向き合い、だからこそ彼等それぞれの【境地】に達することが出来た。
 私達はその4方向のアプローチを、物語というバーチャルな世界で体験できるのである。





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まだ売ってたよ!びっくりした… 私は当然持ってますが(笑)

2008年08月06日

仮面ライダー龍騎・9 王蛇(後)

 映画版「仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL」は、製作された時点で考えられていた最終回を描いたと、ムック本のスタッフ談話で語られている。そして映画公開から半年間。キャラの立ち位置も随分変わったが、一番変化したのは王蛇かもしれない。
 半年間という年月が、紡がれたドラマが、否応なく孤独な野獣だった浅倉を、人と人の間に放り込んだ。その結果、思わぬ方向にキャラが走り出したのである。

 序盤は北岡を恨みつつ、真司の善意と対決し、迷う蓮を取り込もうとした浅倉。それが終盤に近付くにつれ、基本的に善意の立場である真司や蓮ではなく、何故か北岡に執着するようになるのだ。物語の悪役としての立ち位置なら、むしろ主人公である龍騎に絡むはずが、何故かゾルダにシフトする。

 私は「龍騎」の物語で唯一、この「北岡に執着する浅倉」の図式は、終盤になってやや唐突かとも思う。しかしむしろ、"浅倉本人"も意外だったのだろう。神崎によって朽ちた教会に集められ、タイムリミットの宣告がされたにも関わらず、いるはずの北岡がいないのに気付いたとき。法律事務所に乗り込んで、からっぽの机を見たとき。浅倉は、激しく苛立ちを感じる。
 それまでは何のこだわりもなく、目に見えるもの全てをぶちこわすことに快感を感じていた浅倉。彼にしてみればライダーなんて十把一絡げに戦う相手程度の認識だったかもしれない。
 ただその中にあって北岡は「名指しでぶちのめしたい」相手、つまり「この手で屈服させたい"個人"」だった(タイガも一時期、ロックオンされたこともあったが、あっという間に雑魚に格下げされた)。ぶちのめしたいと思いつつ互角に戦うゾルダに、執着を覚えたのではないかと思う。
 北岡にとって浅倉は、その危険性を強く感じる相手だったに違いない。戦いに勝つ為に必要だと北岡の頭脳が割り出した計算結果をすべて、浅倉は天然に持っている。
 法曹界の北岡と犯罪者の浅倉。図らずも全てが対照的な二人だった。だからこそ物語の流れとして、自然と2人が引かれ合ったのかも知れない。



 物語最終回、浅倉ははじめて「何故だ!」と問いかける。
 それまで破壊と殺戮に何の理由も持たなかった男に、最終的に突きつけられた現実。
 「何故だ!」…そこで見えてしまったのは自分の心とは何だったのか。

 機械を纏ったゾルダは人の心を取り戻して戦いをやめ、人として朝の光の中で眠る。
 そして野獣として戦い続けた王蛇は、その果てにおぼろげながら疑問を抱き、人として銃弾に倒れる…



 人として戦いの中で葛藤し続けた龍騎とナイトは、ミラーワールドの戦士としてではない、【私達がずっと愛し応援してきたヒーロー・「仮面ライダー」としての望み】を勝ち取って最期を遂げた。
 ゾルダと王蛇は全く逆のスタンスから、ヒューマニティーに立ち返って【人として】死に至る。
 そして彼等は皆、その死に顔は穏やかなのだ。






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やはり平成ライダーを代表するダークヒーローだよね王蛇。

2008年07月30日

仮面ライダー龍騎・8 王蛇(前)

 一方、王蛇もライダーとしてはかなり面白い存在だろう。
 彼は戦うことに理由も意義も見いださない。それが純粋に彼の欲望であり、それがつよさでもある。その奔放な戦いぶりは、普段抑圧されている私達の心を揺さぶり、強烈に惹かれてしまうパワーがある。浅倉という男の、セクシーな魅力もその一助となっていると思う。

 「仮面ライダー龍騎」という作品では、仮面ライダーという名称は「ミラーワールドに入って闘うことの出来る者」と言うこと以外の意味はない。つまりそこには私達がよく知る、伝統的なライダーの「人類の自由と平和を守る」正義の精神は付加されていない。
 何故戦うのか。それは各自の意志に任されている。それぞれのライダー達にはそれなりの理由があり、自分の願いや主義主張の為に戦いに参加している。

 その中にあって浅倉は特異だ。何故なら彼は戦いに理由は付けない。ライダーってのはいいもんだ、イライラがすっかり消える。彼の願いは脱獄して大暴れすることなのだから、ライダーになった時点で願いは叶えられている。
 浅倉は、単純に戦うのが楽しいから戦うのだ。

 浅倉はそのエビの中で、親に虐待されていたことをほのめかしてはいるが、どういう生い立ちがあったかははっきりと描写されていない。少なくとも、暴力衝動が強い上に、それを抑えようとしない男だ。
 私達の中には、自分にとって障害となる存在や安全を脅かす存在を、消滅させてやりたいという強い衝動がある。邪魔なアレや憎たらしいアイツを「目障りだ、消えろ…」と無くしてしまえたらどんなにいいか。あって欲しくないモノを破壊できたらどんなに楽しいか。誰かが下手に「殺してやりたい」なんて口走ろうものなら、やたら問題視してマンガやゲームに責任を押しつけたがる世の中だけど、案外これは私達の身近な感情だ。それを理性と教育で押さえ込んで、野獣を飼い慣らすように穏やかに生活しているにすぎない。
 しかし浅倉にはそんな口先の倫理なんて通用しない。思うがままに破壊し、楽しむ。浅倉は私達の抑圧された破壊衝動を満足させてくれる、魅力に満ちたキャラクターだ。

 ここで注意すべきは、浅倉というキャラの立ち位置は、あくまでも物語の上では「悪役」ということだ。浅倉は、他の三人の主役ライダーと対比させる形で物語を進行させる、正反対の存在として設定されている。
 無鉄砲な善意の塊の真司、良心の葛藤に悩みつつ意志を貫こうとする蓮、知性で心を押さえ込んで戦う北岡。彼等と真逆の男として、迷い無き悪意と破壊衝動を持つライダーになっている。言うならばあくまでストーリー上の「駒」だったはずだ。
 それが不思議なことに、物語が進むに連れてどんどん「生きて」くるようになる。映画版を見ると、はっきりと悪役としての役割を与えられている彼が、TV版では違う成長を見せるのだ。



またまた長くなったので王蛇の項つづく(^^;;;








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イライラするんだよ…

2008年07月29日

仮面ライダー龍騎・7 ゾルダ(後)

 ここで、吾郎ちゃんという存在について少し書き加えてみたい。
 北岡の影になり、いつも彼をフォローしている由良吾郎という男は、彼がいることで北岡という人物が、嫌味でキザで鼻持ちならない冷徹な人物であるという印象を薄める。北岡は吾郎に対していつも「ありがとう」と笑顔で言い、吾郎はそんな北岡の為だけを考えて生きている。一人の人間をこれほどまで深く傾倒させる人物が、ただの冷血漢であるわけがない。吾郎を側に置くと言うことが、即ち北岡が愛情深い人物であることの証でもある。
 吾郎と蓮は似ている。二人とも無愛想だが、愛する人の為にはどんなことでもすると決意した男だ。
 「ゾルダ」と言うライダーは、最終回で北岡から吾郎へと受け継がれる。そこも非常に興味深いと思う。そして吾郎もまた、王蛇に対してとどめを刺すことは出来ないのだ。



 ライダーの象徴を受け継いだ三人。彼等はヒューマニティーに殉じる。

 龍騎とナイトは「仮面ライダー龍騎」に於いて、ヒーローとして戦い続けた。しかし、彼らがたった一つ出来なかったことがある。それは、「自らが戦いを止める」ことだ。
 それが出来た男こそ、仮面ライダーゾルダ・北岡秀一だった。

 それには反論がある人もいるだろう。何故なら龍騎とナイトは、自分から進んでモンスターに襲われる人々を守ろうとしていたからだ。対抗するには力が必要であり、それにはライダーである必要があった。しかし私がここで言いたいことは、少し違うところにある。
 ライダーバトルを降りる、ということは、本人の死を意味する。インペラー・佐野満の例のように、モンスターとの契約がまずある。しかし北岡が「辞めようと思っているんだよね」と言っているのは、あくまで【ライダー同士のバトル】のことだ。
 ここで重要なのは、北岡は最終的に自身の意志で脱落を選択した、ということであると私は思う。


 真司は成り行きでライダーになり、それ故、己の良心と状況の中でもがき苦しんで戦い続けた。

 蓮は目的を持ってライダーになり、最後までその意志を貫いて戦った。

 そして北岡は、自分自身が生きるために戦いを選び、人として死ぬために戦いを辞めることを決意した。



 登場時は凶悪な強さだったのに、物語が進むに連れ、どんどん弱くなっていくゾルダ。しかし北岡という人物は、最終的には非常に強い人間だったのではないかと思う。
 「優しさは強さだ」などという常套句があるが、この言葉の意味をちゃんと説明出来る人間がどれ程いるだろう?私はそれこそ【ヒーロースピリッツ】ではないかと思っている。存在する全ての命を大切に思うヒューマニティこそ、どんな悪意にも決して負けない強さではないだろうか。
 北岡は、自分自身の命よりヒューマニティを選択出来る人間へと成長した。
 ライダーとしてではなく、人としての死。

 ヒーロー像からほど遠かった男が、互いの命を賭けたギリギリの戦いの中で見いだした真実は、静かにその生涯を終焉に導く。





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コレは名作玩具と思います!

2008年07月26日

仮面ライダー龍騎・6 ゾルダ(前)

 では、残る二人、ゾルダと王蛇はどうだろうか。

 この二人は正に【自分の為】に戦う二人である。ゾルダは自分の命をライダーバトルにかけている。王蛇は純粋に自分の欲望のままに戦っている。
 戦う為、殺し合う為に必要なこと。それはとりあえずヒューマニティーを捨てることだ。

 北岡はヒューマニティーを知性で押さえこんだ「機械」になり
 浅倉には最初からヒューマニティーがない「野獣」である。


 自分が生きていく為、勝ち残る為には人間性は捨て、自分の為だけに戦うと決意しなくてはならない。そう決意したであろう北岡は、序盤は確かに強かった。龍騎とナイトを圧倒し、秋山に「青臭いね!」と言い捨て、真司を陥れようとする。北岡に言わせてみれば、彼等が自分の人間性を持ったまま戦っている姿勢は、ちゃんちゃらおかしいというか、むしろ腹が立つのだろう。一度ライダーとなったからには、優しさは弱さだ。あいつ等は分かってないんだよ。
 それなら冷酷に徹して倒せばいい。しかし北岡は苛立つのだ。
 自分で捨てたつもりの人間性。でも彼は、自分でも気が付いていないのだが、戦いの中でもどうしても優しさを捨てきれない。それがどんなに表面上、機械のように計算したつもりでも、ついつい反応してしまうのだ。それがつい、最初は苛立ちとなって、次第に弱さとなって現れてしまう。
 そこには明らかに「ヒーローの心」を持った龍騎の影響があるのだろう。ゾルダに密かに与えられている【触覚】は、それを本人の知力を超えたところで胸に響かせる。

47話で、いかにも無理をして戦いを挑んできた真司を「見てらんないよ」という理由で追い返している。城戸が戦いを止めろと言い続けていたのをあれほど馬鹿にしていた北岡だったというのに。
 北岡の中で消すに消せなかった「いくら自分の純粋な願いのためとはいえ、人を殺めてはならない」という良心の呟きを、真司は代弁してくれていた。そして実際殺せない自分の免罪符にもなっていた。それは蓮も同じだったろう。蓮と北岡の終盤の会話「確かに城戸は馬鹿だが」「俺やお前よりマシな人間、だろ?」というセリフの持つ意味は深い。


 そして最終的に、北岡はその知性故に、戦いの空しさに気付くのだ。自分が本当に大切にすべきものは何かをはっきりと悟る。


 …すみません、URL見た方はお察しでしょうが、ゾルダ大好きなんで(笑)彼に関してはまだ続きます。







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中の人は玩具大好き!小田井涼平。公式ブログはこちら♪

2008年07月16日

仮面ライダー龍騎・5 ナイト

 対を為すナイトは、物語の最初から明確に自分の目的がある。
 例え自分の手を汚してでも助けたい人がいる。その結果自分がどうなろうと構わない。選ぶべき道がそれしかないのなら戦う。戦ってみせる。

 しかしその動機は、秋山蓮の優しさでもある。傍目にはぶっきらぼうで何を考えているのか分からない彼だが、人を見捨てられない深い他愛心を持っており、それが逆に彼を悩ませる。本当にこれでいいのか、俺は愛する者の為とはいえ、人を殺すことが出来るのだろうかと。
 その甘さを北岡に「青臭い」と吐き捨てられ、浅倉には利用され、手塚には見透かされて、何も出来ないままズルズルと戦い続ける蓮。
 しかもすぐ側で、五月蠅いヤツが「戦いをやめろ」とわめき立てる。蓮はそれが煩わしい。今更騒ぐな馬鹿が感染る。しかし同時に深い共感も持つのだ。アイツは確かに馬鹿だが、俺たちよりもマシな人間だ…



 優しさ故に葛藤し、自暴自棄となり、それでも人を守る為に戦い続けた蓮。
 孤独を友としていた蓮と彼を取り巻く人々…その人間関係は、表面的には淡々としていたが、静かに深い絆を作っていたはずだ。しかし戦いは否応なくその絆を断つ。
 彼の迷いや苦しみを見抜いた手塚は戦いに倒れた。相容れない存在と思っていた北岡とは不思議な共感を持つようになるも、彼の命は尽きつつある。妹のように可愛がっていた優衣は消滅。
 そして、常に自分の近くでわめき散らしていた五月蠅い馬鹿が…しかし共に命をかけてライダーバトルを駆け抜けた優しい男が、目の前で倒れてしまう。

 真司は蓮にとって「生きていて欲しい男」だった。
自分は生きる限り愛する人を見捨てることは出来ない、己のエゴで戦い続けている愚かな人間だ。しかし真司は違う。「愚直」と言う言葉が相応しい程、自分の良心に真っ直ぐに生きていける人間なのに。
 しかし「お前こそ生きろ!」という言葉も空しく、彼は目の前で逝ってしまった。

 蓮は生き残り、最後の戦いに向かうことになる。結局人は、自分でしかない。俺はいったい何の為に戦ってきたのか。迷いの果てに願いを見つけた城戸。願い(命)を諦め病室で微笑んでいた北岡。じゃあ俺の戦いは何だったのか?
 彼の答えはひとつだ。蓮は葛藤はしても迷いはなかった。最後まで戦い抜き、自分の意志を貫き通した。



 ナイトが受け継いだクラッシャーは、人の顔で言えば「口」の部分であり、黙して語らぬ強い意志の存在がそこに見えてくるのではないだろうか。
 「愛する人を守ろうとする揺るぎない意志」というのは、非常に基本的なヒューマニティーの顕現であると言える。蓮は、「みんなを守るヒーロー」としてはどちらかというと異端かもしれない。彼は恋人を見捨てるにも、人殺しをするにも優しすぎたのだ。その苦しみが分かるからこそ、私達は彼に惹かれ、彼の魂が安らぐのを祈らずにおれない。

 蓮は無骨な彼の愛を貫いて、ライダーとして戦い抜いた。戦いの中、常に胸に抱いていた指輪を彼女の指にはめ、息絶えているであろう彼の顔はまるで眠っているかのように安らかだ。
 その時私達は、蓮が深い葛藤から解放されたのを知る。





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 Vol.24仮面ライダーナイト&仮面ライダー王蛇


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ケータイ捜査官7を見ると、もれなく秋山蓮がついてきます♪
(手塚もいるよ!)