2010年04月09日

侍戦隊シンケンジャー・考察 其の八「義」

 「人の世を守るため」戦う事を宿命づけられた侍達。しかも、そのためには犠牲もやむなしという、どこか非人間的な選択肢すら視界にいれての戦いだ。外道衆を斬って斬って、殲滅させるまでに戦い抜く事。人を、世界を、守るために、戦いの犠牲になると言う事。確かにそれは崇高なヒーロースピリッツなのだが、一歩間違えれば外道の暗闇が口を開けている危ういバランスの上に成り立っている。
 大義のためには犠牲もやむなし…侍の家に生まれたということは、そういうことでもある。志葉家が倒れることは人類の破滅につながるからだ。

 特に影武者である丈瑠には、最初から「死」がその使命の中に織り込まれている。影武者であることが明かされ、丈瑠は侍達に「賭けなくても言い命を賭けさせた」と言ったが、それは丈瑠も同じだ。しかも志葉家当主として戦力になるため、偽物の自分のために家臣を犠牲に出来ないため、丈瑠は自分の強さを研ぎ澄ます必要があった。その姿勢は、どこか人間的ないびつさにも繋がる。終盤の丈瑠の迷いと闇堕ちは、そのバランスが崩れたためではないかと思う。
 人の世を守るために、志葉家当主としての重責を背負って飛び続ける。偽物であるがゆえに、侍達が自分を守って死ぬ事があってはならないという思いも強い。丈瑠という青年の人生は、志葉家の当主として生きる事そのものだった。
 だからこそ、影武者である事が知れ、当主としての立場と大義が失われた時「びっくりするほどなにもない」状態になってしまった。家臣や侍達が自分に仕えていたのも、定められた大義故。彼等は正統継承者である薫姫を守るために、シンケンジャーとして戦わなくてはならないだろう。丈瑠に残ったのは、戦う力と剣の腕だけだった。




 しかしそんな大義から自由な存在が、源太だ。
 シンケンジャー達にとって「人の世を守る」という大義は幼い頃から染みついた価値観であり、彼等の行動原理とでも言うべきものだ。侍の家に生まれた時点で、運命の呪縛を受けているとも言える。が、源太にはそれがない。「義」を第一にするシンケンジャーに対し、幼なじみとの約束を守るために戦いに参加した源太を駆り立てるのは「情」だ。その上で、人々を守ると言う正義を自らのものとしている。寿司屋と言う職業も戦うアイテムも、どれも志葉家を中心として成り立つ伝統とは、全く異質。しかも彼が幼い頃に実家の寿司屋は夜逃げしており、家の業とでもいうべきものからも完全にフリーだ。(唯一、源太が自分の身の振り方に迷った「加哩侍」のエピが「親の夢を叶えるために店を持ちたい」という理由だったのは興味深い)
 しかも源太は自分の思いに率直なタイプだ。だから傷ついた十蔵を斬る事が出来なかった。それは完全に情に流された状態であり、侍の決断としては間違っている。それでも、いやだからこそ、流ノ介と千明は「お前のような侍が私たちには必要なんだ」と言う。飛び入りだった源太は、いつしか必要な男になっていた。

 そして実は丈瑠は影武者だった…という秘密が明かされ、実は丈瑠と源太は同じ立場だったのだ、という事実が明かされた。このどんでん返しに、改めて源太の立ち位置の面白味にエッジが効いてくる。侍の宿命に縛られていないが故に、源太は丈瑠とともに一度は離脱しながら、逆に侍達が丈瑠に走った時は、姫のために助太刀を申し出るのだ。
 源太は色々な意味でシンケンジャーのワイルドカードだ。それは対・外道衆の戦力としてもそうなのだが、伝統や大義を受け継ぐ精神と個人の感情、侍達が葛藤する二つの相反する内面を、独立した立場と情熱で結びつける役割も担っている。姫を助ける時の「寿司屋でよければ」は本当にかっこいいシーンだし、伝統と革新、真実と嘘、全てを一つにまとめるキーとしての源太の役割が光った。




 縛りがなく自由であり、自由であるがゆえに自立している。
 そんな源太だからこそ、真実の露見でばらばらになってしまったシンケンジャーの使命と感情を、再び結びつける事が出来たのだろう。




 源太がとんちんかんな格好をして、初めて屋敷にやって来た時、丈瑠は陰で大笑いをしていた。それまで全く見せた事のなかった顔。烏賊折神を友情の証に渡した源太が、本当に自分を助けにやってきた!そして志葉家当主であり、常に殿様の顔を崩さない丈瑠に対して、あの頃と同じ「たけちゃん!」と呼びかける。
 丈瑠にとって源太は、殿様でない自分を慕ってくれた友であり、また運命に巻き込んでしまった相手でもあった。
 しかしそれは源太が自分で決意した結果だ。誰に強制されたのでもなく、幼い日の友情と約束の果てに、自ら選んだ道だった。

 だから丈瑠も受け入れたのではないだろうか。嘘の主従関係で命を懸けさせたくないと、あれほど侍達を戦いに巻き込む事を嫌っていた丈瑠。もちろん源太の事も一度は拒否するのだが、押し切られてしまった。しかしそれは意外な事ではない気がする。
 それは、そこにあったのが大義ではなく、源太の信義だったからではないか…と私は思う。
 彼が貫き通した信義は、最後まで揺らぐ事はなかった。



 だからドウコクとの決戦の時、源太は丈瑠に言うのだ。
 「たけちゃん、巻き込んでくれてありがとな」








シンケンジャー 
長袖モチーフTシャツ
【シンケンゴールド】
【30%OFF】


販売希望価格 1,890円 (税込) のところ
ねごろ価格 1,320円 (税込) 送料別
100cm・110cm・120cm

ド派手なデザインだわあー

 
この記事へのコメント
姐さん、こんにちは〜!
4月だというのに暑くなったり寒くなったりで
何を着れば良いのかわかりません・・・。

そして、新学期恒例のクラス替えで息子はド凹み・・・汗)
そんな姿を見つめる私も切ないっす。(親バカ。)

すみません。私事がすぎました・・・


源ちゃん・・・
ほんと、ほんっと、ただの追加戦士じゃなくて
シンケンジャーにとっても丈瑠にとっても
絶対に必要だった人物でしたよね。

インロウマルもダイゴヨウもダイカイシンケンオーもない
シンケンジャーは想像つかないですもの。

そして彼の生い立ちというか出自というのがまた・・・
”侍じゃない”という彼の立ち位置は初めから終わりまで
余すところなく十二分にストーリーに活かされていたのではないでしょうか。

ほんと、伝統をぶっ壊すくらいの勢いで組織を進化させた「ワイルドカード」な源太から
毎週、目が離せませんでした。

総括もそろそろ後半でしょうか・・・?

それが一番寂しいっ!!!!!
Posted by asamiy at 2010年04月14日 11:15
asamiyさん、こんばんは!
なんか北海道はまだ雪が降ってるとかで夕方のニュースでやってましたね。
熱さ寒さは彼岸までじゃなかったのかと…
春はまー、子供たちは色々ありますよね。
うちも引っ越しが合ったので、新しい環境で息子は色々大変みたいです。
人生変わってやれないので頑張れよとしか言えませんなあ。

源太は、登場した時は「いったい何が始まったんだろうか」と
少々びっくりした覚えがあります。
それまでの世界観を軽く覆すキャラ設定ですからねー
でも物語が進行すればするほど、どんどん輝いてきましたね彼は。
役者もすごくハマってましたし。
出てきた時はあれほど浮いていた源ちゃんが、ストーリー進行につれ
物語の中でここまで彼の設定が生きてくるとは、すげーなーなんて
思っちゃいましたね。いや、すごかった。

シンケンジャー連載、まーそろそろまとめないとねーと(^^;;;
落とし所をどうするか、思案中です。
Posted by K at 2010年04月14日 22:13
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/37004259

この記事へのトラックバック