2009年09月04日

ゲキ×シネ「五右衛門ロック」 【ネタバレ感想】

 劇団☆新感線の2008年公演作品、「五右衛門ロック」。その舞台の臨場感をそのまま映像化し、スクリーンで再現してくれる ‘エンゲキ×シネマ=ゲキ×シネ’を観てきた。
 私はこの舞台を観ていない。恐らく生で演奏されるロックバンドや、細かく練り上げられた役者同士のやりとりやダンス、幕を使わず流れるように展開していく有機的な舞台は、恐ろしい程の迫力だろう。ちくしょー、観てみたいなあ。しかしスクリーンで観るこの「五右衛門ロック」も、ものすごく面白かった。
 濃くて愛すべき登場人物に、豪華でドハマリのキャスト。起伏のある見所たっぷりのストーリー展開を、舞台の空間を生かしきった演出で魅せる。長いはずの上映時間なのに、特に後半はあっという間に感じた。
 「かっこいいオッサン」はマジでいいね。

 満足満足。気になっている人は是非。でもってこっから下のネタバレは読まずに、是非劇場で堪能して欲しい!







   【ここからネタバレ感想】







 いやほんと、面白かった。

 全体のトーンは明るく、個性的な連中がワイワイと楽しそうにやりとりしているのだが、内容はかなりシリアスだ。それを感じさせないパワーと楽しさに溢れているのがいい。
 その「かなりシリアス」な物語の骨子は、すべてタタラ島の王・クガイが背負っているもので、よくよく考えると導入部分以外、全ての流れを決定づけ導いているのはクガイと島の運命だった。しかしそこに加わったトリックスターが主役を張ることで、とんでもなくカッ飛んだ印象すら残す。
 この五右衛門、とんでもない万能感がある。ちょっといい加減でテキトーそうで、逆にそのゆるみが魅力的で、キレる頭に冴えた腕。まあなんだ。ルパン三世なんだよね(笑)でもそのルパン三世を、スマートな若手ではなく、ムサいオッサンが演じているのが、たまらなくいいんだよ!(古田新太さん、ごめんなさい)変わり身の術だっけ?もー笑った笑った。ユーモラスでムサいんだけど、かっこいい。
 一方物語を支配しているクガイ。登場のシーンから、彼は自分が「罪を背負うものである」と言っている。キャラは謎に満ちているし冷酷にも見えるのだが、ずっとそのセリフが頭に引っかかって残った。五右衛門が謎を解きながらその真相に迫る展開なんだね。己の罪を自覚するが故に、全ての罪と罰を我が身に背負って去る。手を汚した者だけが出来る贖い。その大いなる父性が美しく、北大路欣也が素晴らしい。この男はほんと、いい男だよなーと思った。しかし哀しい男だな… 男の美学を極めたらここに行き着くくらいの、いい男ぶりだ。
 支える女達はそれぞれ奔放でありながら、支える対象の男たちを根っこの部分から理解している、いい女ばっかり!こういうのって、理想っちゃー理想だな〜 なかなかいねーけどな(笑)

 前半も息をつかせぬ展開の連続で面白かったけど、やはり後半がいいね。特に、穏やかな原住民の歌が聞こえてくるところから。なんか、この下りから物語のシフトがぐっと上がったのを感じた。
 クライマックスで女二人のやりとりの流れ「五右衛門なら!」から、大立ち回りに行くところ。クガイと息子・カルマが分かり合うシーン。そして海に没するクガイ。この辺りは自分の感動ボルテージがMAXで、ちょっと泣けた。いいところで気持ちを揺さぶってくる。こういう「燃えの配分」は絶妙と思う。
 そう言えば大立ち回りで、四人が名乗りを上げるところ。毛唐商人に「ブラボー日本の様式美!」とか言われてたけど(笑)あのルパンオチってのもある種日本の様式美だよな。
 でもって、所謂勧善懲悪の単純さではない、巨悪を倒して終わりではないところも、日本的と言うべきか。この物語では悪役は、商人達とか愛すべきボノー将軍夫妻とかなんだろうけど、彼等は「ちっちゃい」んだよね(笑)より大きな漠然とした悪意の存在に対して一矢報いるというか、鼻をあかして上前をはねる、という心意気が、心底気持ちがいいわけだ。
 こんなにいいお話なのに、最後はルパンオチで「わっはっは」で終わるのが爽快。舞台として面白いのはもちろんなんだけど、物語として良い。大筋がしっかりしているから小ネタが楽しい。

 えーと、登場人物では岩倉左文字が好きです(笑)かわいいなあ。
 キャストは誰も彼も本当にぴったりの配役。でもって何の予備知識もなく観に行ったから、松雪泰子が出演しているのにびっくりしちゃった(^^;;; 去年観た「メタルマクベス」では松たか子の声ヂカラと底力に驚かされたけど、松雪泰子もよかった。テーマ曲の歌は正直、ちょっと声質が合っていないと思ったけど、クガイと二人で歌うシーンとかは、すっごいいい感じだった。全体的にキレキレで楽しそうだったしね。

 とまあそんなわけで、濃厚な時間を過ごせました。御馳走様です!








五右衛門ロック
著者: 中島かずき


本体価格 1,800円 (税込 1,890 円) 送料無料

この本の表紙ではおとなしすぎるほど、古田新太はド迫力(笑)
 
posted by K at 10:21| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVDなど
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