2009年05月21日

天元突破グレンラガン考・6 知

 穴掘りの天才故に「穴掘りシモン」と呼ばれた少年。
 「天元突破グレンラガン」は、何処にでもいそうなオタク少年が、破天荒な人々の間で成長していく物語にも見えるだろう。
 しかし、ストーリーが進むに連れて立ち上ってくるのは、より強く烈しく彼を導く運命の力。この物語は、大宇宙で種の存続を問う "さだめ" を背負った男の、覚醒と戦いの物語に見える。



 「天元突破グレンラガン」は非常に緻密に構成されている。
 5話のアダイ村のエビ。これは前半だけ見ると、単に敵と雌雄を決するために旅をするグレン団一行に、新たな仲間が加わる話だ。しかし三部に突入すると、そのモチーフは更にスケールアップして繰り返される。カミナと司祭のやりとりは、それぞれの精神を色濃く受け継いだシモンとロシウの立ち位置で示される。
 それと同時にその対立が、四部のアンチスパイラル最終決戦の中で生かされる。




 「突破する」ことを種の集合意識から託されたシモン。
 彼が風穴を開けるべき壁は、どんどん巨大になっていく。

 シモンが真に突破すべき壁、とはなんだったのか?




 最初の5話のアダイ村のエピをもう一度考える。
 資源の乏しい小さな村。そこで村長となった男は、ここでは50人以上の人間が生きられないことに気が付いた。その制限の中で、犠牲に目をつぶりつつ、多くの人々が生きる道を選ぶ。
 が、カミナにはその事情が理解出来ない。なぜそこで「だめだ」と思ってしまうのか。あれほどの気合いを持ちながら何故、と。



 二人の違いは、「意識」の違いだ。
 頭のいい人間程、この穴に陥りやすい。




 「宇宙とは曖昧さだ」と、後に生体コンピューターとなったロージェノムは語る。第四部の戦いを見ると、アンチスパイラルと螺旋族との戦いは、量子論が支配する曖昧で確立の支配する宇宙を、何処まで制するかの戦いであるように思える。彼等はかつて、その高度なテクノロジーで、次元すら超えて量子宇宙の中を戦っていた。
 無茶苦茶な変形をするグレンラガン。アニメらしいこの描写だが、実はこの変形こそ、螺旋族の持つ「意識がエネルギーとなり、物質に直接影響を与える」技術であると言える。


 曖昧さの中に意識が現実を作り出す。


「天元突破グレンラガン」の世界観、宇宙観のベースはここにある。それも四部になっていきなり、ではない。一部からずっと、その宇宙観は貫かれてストーリーが展開している。
 そして、その構造を全く同じかそれ以上に熟知した存在、それがアンチスパイラルなのだ。




 アダイ村の司祭が、かつての螺旋の戦士ロージェノムが、生まれながらの聡明さで急成長し政治手腕を発揮するロシウが、感じた限界とはなんなのか。
 曖昧な宇宙の闇を、知性の光が照らし出す。高度な知能を持つ程、その照らし出す果ては遠くなるが、そこに映る影も巨大になり闇も深くなる。知力が高い故に見えてしまう「限界」。人の意識が可能性を作る代わりに、壁も作ってしまうのだ。
 三部。ロシウがいくら才覚があると言っても、知力が次元を超えるレベルで上回るアンチスパイラルが相手では、赤子の手を捻るも同然だったろう。アンチスパイラルの張る罠とは、人であるが故に発達していく知性が意識に大きく干渉し、それ故に絶望の宇宙に囚われていく構造を、巧に利用した策だからだ。



 意識が支配する曖昧な宇宙の中で、知力に勝る相手に勝つために必要なもの。




 螺旋族の集合意識が選んだ答え。それこそ、


己の魂への無条件で絶対的な信頼



 だったのではないだろうか…と、私はそんなふうに考える。
 魂!魂こそが、暗黒の宇宙を凌駕する大いなる輝きであると。





『フィギュメイト グレンラガン カミナシティ編 Vol.2』5種


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価格 700円 (税込) 送料別

何を隠そう私はロシウが一番好きです!

 
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