2009年05月05日

劇場版・天元突破グレンラガン 螺巌篇 【ネタバレ感想】

 面白かった。が。ぶっちゃけ、これはTV版を見た人が堪能すべき映画だ。色んな意味で。
 余りにスピーディーな展開とカッ飛んだ世界観に、初見の人がついて行けるのか想像できない。というより、それを判断するには、私は「グレンラガン」を好きすぎる。もしも初見の方ならば、「とりあえず世界を守るため、奪われた女を取り返すために、巨大な敵に挑み戦う男の物語」くらいに思えばいいかもしれない。

 逆に。
 TV放映された「天元突破グレンラガン」を観て、面白いなあと思っていたのに、それなりの時間もお金もあるというのに、まだこの映画を観ていない君。
 もしもそれが「ちょっと外に出るのが面倒だ」という理由ならば、君は自分の怠惰な性分に活を入れるべきだ。
 もしもそれが「前にTV版で一度観たのに映画に行くのも馬鹿馬鹿しい」という理由ならば、劇場で「予測の斜め上」とはどんなモノか、君自身の目で確かめるといい。

 帰り道、私は「やられた!負けた!」という気分だった。
 去年公開された前作【紅蓮篇】を観た後、きっと誰もが「面白かったんだけど、この後一体どうするんだろう?」と思っていたことだろう。私もその一人だった。まとまるのか?しかも「あれ以上」を作れるのか?と。だがそんなファン=自分が勝手に作りだしていた限界を、突破してみせてくれた劇場版だったと思う。
 スタッフの螺旋力の凄さに目眩。こちらも気合いを漲らせて観るべし!





 【ここからネタバレ感想】





 これはまいった。前編である【紅蓮編】はアニメの11話まで。残る15話分のエピソードは、複雑な舞台設定と濃密で熱い戦いの連続。本当にどうやってまとめるのかと思っていた。それがここまでキレイにまとまるとは!
 しかも短くしたことでむしろ、状況もキャラの心情も、シンプルに分かりやすくなっている。これは驚きだった。随所に散りばめられた新しく書き下ろされたシーンは、どれも短い中に必要な要素が盛り込まれ的確。細かいセリフの直しなどもあって、「TV版の反省点」を生かしきっていたと思う。
 その上で、スケールの大きな戦いの連続となる終盤の決戦。あの最終回の怒濤の展開の、更に上を魅せたのはすごい。名セリフの数々はほとんどそのままに(これはとても嬉しかった)、スケールアップした戦いを繰り広げ、映像表現もさらに上に挑んだ勇気。それだけの尺を最後にとっておけた構成力。TV版の全27話と【紅蓮編】の存在が、更なる挑戦を強いてしまったのだろう。あの最終回を、もう一度繰り返すだけではダメなのだと。
 限界の、さらに上に。総集編映画という妥協をしなかったスタッフに、心から敬意を表したい。

 ストーリーはシモンとニアを中心に進んだ。TV版第三部に当たるパートは、かなりの尺をロシウの苦悩と挫折に割いていたし、そこが面白味でもあったのだが、そこはばっさりと切っている。その代わりにニアのプロポーズの返事のシーンや、牢屋でのシモン覚醒など、非常に重要なシーンを盛り込んだ。特にニアの日記はタイトル直後から何度か描かれ、物語の中でとても印象的に綴られている。
 また、ニアとの対峙で本編にはなかった「これがアンチスパイラルの最大の罠だった」というシモンのセリフを付け加えたのは大きいと思う。何気ないが非常に含むもののあるセリフ。シモンにとってのニアという存在の大きさを示すと共に、アンチスパイラルという敵の手口と、その突破の鍵がさりげなく提示されている。
 冒頭とクライマックスの戦いが、ニアの目の前での「シモンとボスとの殴り合い」であるのも面白い構成だと思った。彼女を生み出した源でありながら、閉じこめ束縛する父性と、彼女に自由な個への進化を指し示す男との一騎打ち。同じ男性原理ながら、真逆の方向に動く力の対決。正にアンチスパイラルVS螺旋族だなあと。その前に出てきた無限大のシンボルも印象的で、この戦いそのものが宇宙の理なのかと思わせる。
 ニアを失うことに対する覚悟も、TV版より分かりやすく描写され、戦いの後日談で花を植えるというエピを入れたことで深みを増している。

 その他の登場人物。物語をばっさり切ったお陰でグレン団生き残りました!特に子持ちのマツケンめでたし。キタンだけは犠牲になったけど、あのキタン玉砕シーンはTV版そのままでよかった。パラレル世界でのカミナとの会話や、彼の死を悼む三姉妹のシーンを入れたのも嬉しい。
 ヨーコとヴィラルも、すごく良かった。グレン団の面々も含め、新作カットが非常によい。酒場での会話や、ニュースを見る教師ヨーコ、ヴィラルの「アディーネ様の尻尾に比べれば」、グレン団全員揃ってシモンを助けに来るところ、出撃前の杯など。追加セリフもシーンも最低限で最大の効果を発揮していると思う。
 追加シーンで一番笑ったのが、ロージェノムのハッキングだな〜 シリアス一辺倒の後編の中で、あのシーンはムチャムチャ「グレンラガンらしい馬鹿馬鹿しさ」に溢れていた。
 唯一、「これはTV版の方が良かった」と思えるのが、ロシウの自殺未遂のシーンなのだが、この展開で正解ではないかと思う。いや、私は登場人物の中ではロシウが一番好きなのだけど(笑)彼の物語を描くと、シモンとニアに特化したフォーカスがぶれてしまうのだ。映画版は、これでいい。

 全体として、すべてTV版をトレースしつつ、正に「ドリルが一回転したが如く」上のレベルに仕上げてきている。だから元々のドラマを見ていた人には非常に分かりやすくなっており、スッキリと観ることが出来るのだ。反面、初見の人には目が回る展開だろう。
 観に行く前は「さすがにTV版は繰り返し見たから、感動で泣いたりとかはないだろーな」なんて思っていたのだが、とんでもない。号泣でした。いやー分かっちゃいるんだけど(笑)やっぱり全体から来るパワーがすごいよ。なんか作品へのスタッフの熱意がそのまま画面になって滲み出てくるんだな。

 こういう作品を見られたのは幸せ。いやほんと、よかった。
 唯一残念なこと。それは映画館にいた家族連れが、うちの他は一家族しかいなかったこと!子供達はこういう良質なロボットアニメを見なくちゃダメだっ
 …まあちょっとエロっちいところもあるけどさあ。その辺はしゃーないだろ、ドリルなんだから!(笑)






劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇 サウンドトラック・プラス


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この絵、すごく好きだ。

 
posted by K at 20:35| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVDなど
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グレンラガン劇場版 螺巌編 感想
Excerpt: 本当はレディースデーで見たかったのですが、どうも日程が合わなそうなので、当日料金
Weblog: 色・彩(いろ・いろ)
Tracked: 2009-05-06 22:46