アメコミヒーロー作品としては、非常に重い。しかし独特の突き抜け感もある。緻密な構成で、上映時間の長さを感じさせない。見終わった後、よくここまで描ききったなあと感心しつつも、深く考えさせられてしまう作品
【ここから、ややネタバレ感想】
最初に言っておく。私はアメコミヒーローを知らない。いや、もう少し正確に言えば、アメコミそのものを読んだことがない。
そんな自分がこの作品について語るのは、余りにも無謀、どうしようもなく無知。損なことは百も承知なので、詳しい作品の分析などは他の方に任せたい。恐らくこの映画の奥には、膨大な情報量が内包されているのだろう。原作を読んだ方ならば、「この映画だけでウォッチメンを語られちゃ困るよ」とおっしゃるのではないだろうか。
初見でもその程度のことは察せられる程に、各キャラのバックボーンに深みを感じるのだ。この映画「ウォッチメン」に描かれているヒーロー達、そしてその先代とも言える「ミニッツメン」、彼等一人一人に物語がある。序盤にさらりとピックアップされる彼等の人生。物語が進むに連れて、その点描が線で結ばれ、現在のヒーロー達の陰影となる。
この「ウォッチメン」は、徹底してヒーロー達は、超人的な力を持ちつつあくまでも「人間」である。人であるが故に悩み、人であるが故に社会と不可分だ。社会は病んでおり破滅寸前。その深い闇は弱者にのしかかる。犯罪を生むのはもちろんのこと、決してヒーロー達の前を素通りしてくれないのだ。むしろヒーローであるが故に、その陰影がくっきりと見せ付けられる。
登場人物は皆、魅力的であると同時に、深い苦悩を抱えている。ヒーローがヒーローとして生きられない時代であり、このドラマを包む空気は限りなく重苦しい。
それが物語中盤を過ぎて、ダニエルとローリーがロールシャッハ救出に向かうシーンで、なにかが一変するのだ。ヒーローのコスチュームに身を包み、刑務所で悪人をなぎ倒しながら
前進する彼等は、恐ろしくかっこいい。そこから物語も急展開を見せ、怒濤のラストに突き進んでいく。
全てのドラマが終わった後の余韻もよかった。あの後どうなったんだろうなあ…
最後に蛇足ながら。
ディズニー映画「Mr.インクレディブル」と見比べてみると、ちょっと面白いだろう。もちろん「ウォッチメン」の方が先に出た作品なので、「Mr.…」の方がリスペクトなのだろう。それは百も承知で見ても、かなりその違いが楽しい。「Mr.…」が徹底的にファミリー目線であるのに対して、原作であるこちらはその真逆の立ち位置のストーリー展開だ。
描こうとしている世界が、どこに向いているかで此処まで違うものなんだね。どちらもフォーカスにブレがなく徹底しているのがいいな、なんて思った。
Watchmen


本体価格 3,400円 (税込 3,570 円) 送料別
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正直、ハマるのか、拒絶するのか…
多分これが私の今年のベストになりそうです。
本当言えば、このヒーローのあり方は、私が書きたかった。だからなんかとても悔しい作品でもありましたよ。
観ましたよー いやあ、かなり面白かったです。
ちょっと疲れていて、序盤後一歩で寝るかと思ったら
とんでもない、途中からどんどん引き込まれましたね。
>>このヒーローのあり方は、私が書きたかった。
今からでも遅くはないですぞ!!
時代も国も違いますから大丈夫。