2009年02月17日

超星艦隊セイザーX考・9 宇宙の賭け

 人の意志に共鳴して、宇宙の根元的な力を呼び覚ます媒介となるコスモカプセル。その高次元の「力」は、どんな願いでも叶えてくれるという。
 コスモカプセルとはなんなのか、という事について考えていた時、ふと思い浮かんだのが「伝説巨神イデオン」という作品だった。

 「伝説巨神イデオン」は、その内容の深さ、表現の素晴らしさ(エグさも含む)、話題性など、80年代のアニメを代表する作品だと言っても過言ではないだろう。
 宇宙の片隅の星で発掘された遺跡。そこには「イデ」と呼ばれる強大な力を呼び覚ますシステムが眠っていた。イデは人のより純粋な思いに共鳴して発動する。そして確かに主人公達の「生き残りたい」という強い思いに呼応していた。
 しかし人類の意識は低く、常に自分のエゴに振り回されているだけの存在で、「善きイデア(理念)」を共有する意識を獲得するに至らない。闘いの果てに戦いの空しさを悟りかけたところで、人類の可能性は因果地平へと託される。

 「セイザーX」の中でも、雷将軍サンダーラが問いかけていた。
 「何故戦うだ?何故お前達はまだこんなことをしているだ?」
 …100万年も経てば人類はもう少し成長するかと思ったら、大して変わっていなかったというわけだ。

 実際の所、人間の意識は21世紀になった現在でも昔と大差ない。人ってガッカリする程意識が低いんだよな(笑)
 シビアな話。私は日本の平和憲法の理念は素晴らしいと思う。が、例え人類の9割がそれを理想に掲げたとしても、残り一割に侵略の悪意があれば、結局は武器を持って戦うしかない。「戦いなんて放棄すればいい」なんて絵空事で、実際に目の前で家族が蹂躙されるのを見て、黙っていられる人がいるだろうか。愛する者を守るために立ち上がるのではないだろうか。



 でもそんなことばっかりしていても、しょーがないんだよね。
 何時か何処かで、なんとかしなくちゃならない。
 何故なら、闘いの果てには破滅しかないからだ。


 シャークが元いた世界。そこは、闇に覆われた未来だった。
 若き日の宗二郎と、一年間の宇宙船の修理を終えて山を下りた時のシャークは「そこは安全なのか?」と慌てていた。つまり彼がいた世界というのは、それ程身の回りが危険であり人間も信用できない世界であると言うことが察せられる。
 1960年代の地球にやってきたシャークは、宗二郎、そして幼いレミーとのふれあいを通じて、この世界を守りたいと思う。あんな闇に包まれた未来にしてはならないと。
 面白いのはシャークの意識の「主体」は未来にあると言う点だ。彼がいた場所、いやいるべき場所は、元来は闇に包まれた未来であり、しかしそれは彼にとって否定すべき状態となってしまった。ならば過去に戻ってやり直すしかない。そのことによって自分自身は失われることになろうとも、闇が支配する世界が人々が生きていく上で「善き世界」ではないと気付いてしまったから。

 人類は、いや、この世に生まれた生きとし生けるものは、何度も失敗を繰り返しながらも環境に対応し、ある種は絶滅しても別の種がやり直し、そして進化への道を進んでいる。例え地球が滅んでも、別の星で宇宙の偉大なる生命の実験は繰り返されるだろう。
 コスモカプセルは、そんな宇宙的な意志に非常に近いところにある、超自然的な存在ではないかと思う。だからこそ、「願いを叶える」という一見受け身の媒介でありながら、「宇宙がよりよく生き残るためにやりなおす」意志を持っているのではないかと私は解釈してみた。
 つまり、一度宇宙海賊による「先祖の復讐」というネガティブな意志をベースにして発動してしまったコスモカプセルの力は、エントロピーの増大を招いて物理的宇宙でその機能を停止してしまう。だから宇宙はやり直しを選択したのではないかと。宇宙はシャークの「善き意志」に人類の行く末を賭けたのだ。
 もしもこの賭けに失敗していたら、恐らく人類も宇宙もやり直しを強いられたに違いない。500年後の未来の宇宙は破滅して、全く違う生命体からのやり直しになったのではないだろうか。




超星艦隊セイザーX 音楽集(下)


本体価格 2,500円 (税込 2,625 円) 送料別
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ホントに再評価されて欲しいよ、セイザーX…

 
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