2009年02月03日

超星艦隊セイザーX考・6 原風景の異物

 ブレアードとタクトは、デスカルの海賊船に何故か存在している、脱出不可能と思われた最強のゴミ箱に閉じこめられた。元々二人の性格や行動は言葉を超えたシンパシーに溢れていたが、(第一話ですでに、意味不明の暴走をするタクトの艦に、ブレアードだけは「熱いぜ」とちゃんと共感を示している)この脱出劇でタクトは「諦めずにやるだけやってみようぜ!」と声を掛け、二人で初めて名前を呼び合い、協力して難関突破する。この時ブレアードは、「情熱のままに走る男・タクト」に対して強い思いを抱いたのだろう。
 その思いは恐らくタクトも同じで、1クールラストの決戦の時、巨大化したブレアードを倒すのを一度は躊躇する。しかし故郷の星を失ったレミーの思いに応えるべく、やはり敵は敵、と決意を新たにした。

 二人はお互い口では「敵だ敵だ」と言い合う。それはガレイド登場で一時「息ぴったりだね」の共闘をしてからもしばらくは変わらない。恐らくブレアードは自分の誇りやアイデンティティから。タクトは多分、それまでの経緯とセイザーXの仲間達への思いから。
 この時までは、視聴者もまさかこのあとブレアードが安藤家に居候…というか、庭先で飼われることになるとは思わなかった訳だが(笑)



 安藤家というのは不思議な場所だ。



 ガレージやタクトの部屋はそれなりに今風なのだが、和室の茶の間があり、縁側とこぢんまりした庭がある。丁度サザエさん一家が住んでいるような、所謂「古き良き日本のお茶の間」のイメージそのものだ。

 そこに物語がスタートして少しずつ、異物が紛れ込んでくる。

 第一話のタンスにしまってある茶筒にコスモカプセル、というのを見て「出た!超星神クオリティwww」なんて笑っている間は甘かった。その後いきなり「ごく普通のご家庭のお風呂の脱衣場に、きれいに並べられたアインツバインのガワ」という、ものすごいビジュアルを見せつけられる。茶の間で頭を下げるツインセイザーの姿は、かなり異様な面白さがあった。
 逆にタクトも、バイト姿でライオキャリアーに乗り込む。物語の中で、500年後の未来と2005年の日常が交差してくる。

 思うに、安藤家が「古き良き日本のお茶の間」であることには、深い意味があるのではないだろうか。
 そもそものこの物語のスタートは、シャークと宗二郎の40年前の出会いに遡ることは前に書いた。その時シャークは、米を分けてもらうために寄った農家の田んぼの向こうから、「宗二郎!そこは安全なのか?」と何度も叫んでいた。彼がその時目にしていたのは、人と人とが笑顔で語り合う、優しく暖かな風景。
 もしもこの「セイザーX」という作品に原風景があるとしたら、まさにこの1960年のシーンだろう。
 己の身の安全を確認しなくても大きな危険はなく、人々が協力し笑って語り合い、緑と農作物が豊かに実りを与えている。シャークがそこに見たもの、その全てが、闇に包まれた未来にはないものであり、未来に伝えていきたい光に見えたのではないだろうか。
 安藤家の茶の間が、やや古い日本のお茶の間になっていると言うことは、即ちシャークが守り未来へ伝えたいと思った優しい光が、安藤家に大切に保管されていることを意味している気がする。




 元来「和風」の「和」は日本の国を表していると同時に、そこに紛れ込んだ異物すらもよしとするおおらかな精神を示してもいる。「グランセイザー」で最終的に到達した精神が「調和だ!」だったが、「セイザーX」の中で成長したタクトが出した結論もそこにあったのは興味深い。
 その成長過程を見守り続けていたのは、宗二郎であり、春子であり、安藤家の茶の間だった。
 ブレアードがつながれ、アドが白い米の飯を食い、アクアルやサイクリードまでやって来た安藤家の茶の間には、不思議な説得力があった。時空を越えて闇と戦い続ける不屈の精神を宗二郎が持っていたとするならば、彼等を温かく迎え入れたのは茶の間を守る春子であり、彼女の持つ包容力だろう。
 彼女は嫁ではあるが、それ程の女性でないと安藤家に嫁ぐことが出来なかった、とも言える。言うならば、運命に選ばれた人とも言えるのではないかと私は考えている。




 最終回、タクトの妹である由衣もコスモカプセルの戦士として選ばれている。なぜ由衣なのか。
 それは春子の娘だからではないだろうか。
 この物語は最終的に未来を作る若者に全てが託される。あの茶の間で笑顔でアクアルにお茶を出すことが出来る由衣には、コスモカプセルを持つ資格があると私は思う。その心を春子から学んでいるから。


まだまだつづく…






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劇場版は完全にパラレルって感じですが、超星神ファンには楽しいです。
セイザーX的には、役者の対談というレアな特典映像が素晴らしい。


 
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