2009年01月23日

「仮面ライダーキバ総括」・4 新生そして新世界

 紅渡は、禁忌の生まれ、異形の血肉、最強の鎧、孤独な生活と人外の友を持つ、生まれながらの「仮面ライダー」だった。ただひとつ、彼になかったのはヒーローとしての「魂」。
 しかし愛する女性の死をきっかけに、彼の精神は大きく揺れ動く。人にとって死とは、それ程のインパクトがあるのだ。自らも死を選ぶ程落ちた彼の精神は、黄泉の国を彷徨い、魂を得て復活する。心身共に、「仮面ライダーキバ」の鎧に相応しい男となった。
 愛する人を守る為に闘うヒーローとして成長した渡。そしてその「愛する人」の中に、ファンガイアのキングでもある兄・太牙も含まれていた。

 愛を渇望する故に全てを失った太牙。
 ……彼は「捨てられた子」ではなかった。音也が死んだのは幼い太牙を、先代のキングから守るためだったのだから。また彼は「愛されていない子」でもなかった。養父である嶋は「太牙を守ってやってくれ」と渡に頼んでいたのだから。
 渡の包容が、それを見守る嶋が、その全てを太牙に伝えたわけではないけれど、太牙はそれなりに何かを理解したのだろう。

 ファンガイアの存在は神の過ちである…とまで言い切る「素晴らしき青空の会」と繋がりのある渡。ファンガイアのキングである太牙。
 ふたりが過去の呪縛、親の因果を断ち切るために必要なこと。自分自身として共に歩むために必要なこと。それには己の手で完全に新しい価値観の世界を、自分たちが生きられる世界を構築するしかない。
 古い権威の象徴であるビショップの魂を吸収して蘇った、先代のキングと戦う二人。危機一髪の渡を助けたのは、音也の遺したイクサの腕であり、見えない絆だった。見えない絆、それこそ愛そのものなのだろう。



 ファンガイアの古い権威や定めを打ち壊すことで、新しく自分が生きる世界を作りだす。
 渡は兄の罪を背負えると言い切れる程に強くなり、
 太牙は自分の過ちを許され、二人で新世界の構築へと一歩を踏み出す。
 宿命の鎖を、己の力で断ち切り、
 罪深き母さえも許し許された、愛と共存の道。
 全ての登場人物が笑顔で迎えるラストシーンは、その後の世界を雄弁に物語る。



 「仮面ライダーキバ」は、従来のヒーロー番組を愛する人には、非常にストレスのたまる物語であったことは否定できない。
 二つの時代を行き来する分、どうしても描写が散漫になってしまう点。一人の青年の血脈を追うために両親の馴れ初め…恋愛要素は必須であり、メロドラマ的な展開が不可欠である点。ヒーローの要素を全て持ちながら、その魂が不在の主人公に不甲斐なさを感じるという点。謎解きが大きな軸のように構成されているが為に、その辻褄があわないことに不満が出る点。枚挙にいとまがない。

 私も正直に言えば、色々と思うところはある。この考察は「いいとこ取りすぎ」なのも分かってる。
 しかし、「キバ」はなにかを貫いた気がする。そしてキャラクターが皆、それまでの苦しい闘いの果てに幸せを掴んだのを嬉しいと思う。

 結婚式。愛という見えない絆が紡がれていくラスト。
 恐らくこの番組を見守っていた視聴者の、誰も予測しなかった皆の笑顔がそこにあった。 
 結婚式をブチ壊すマサオの乱入。そこに流れるオープニングテーマ。
 そのハチャメチャな様子に呆気にとられゲタゲタ笑いながら「よかったね」と思えた。



 仮面ライダーキバ。
 親と子のカルマという重いテーマに挑んだ作品は、愛と笑顔で幕を閉じたのだ。




仮面ライダーキバ総括・了


ううん、まさかここまで長くなるとは思わなかった(汗






■初回限定盤■V.A. CD【MASKED RIDER KIVA COMPLETE CD-BOX】


価格 9,800円 (税込 10,290 円) 送料込
残りあと1個です。お早めに…

なんだかんだで一年間、楽しんだなあ。

 
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/25831158

この記事へのトラックバック