2009年01月22日

「仮面ライダーキバ」総括・3 再生と救済

 私は「キバ」を見始めて、つい思い浮かんだ言葉がある。あまりいい言葉ではないので私は好きではないのだが、「親の因果が子に祟り」というやつだ。
 人とファンガイアという禁忌の愛によって、数奇な運命をたどる兄弟。弟・渡は自分自身に対する不安と明確な人生の目的のなさに揺れ、兄・太牙は愛を渇望している。
 そんな二人が同じ女性を愛し、失う。そのことによって弟は自分自身へ大きな絶望と消滅願望を抱き、兄は周りの全てを敵にしてしまう。


 父親から意志を、母親から力を受け継いだが故に、否応なくファンガイアと戦う宿命を背負った紅渡。彼は自分自身がファンガイアのハーフであることすら知らなかった。
 それでも戦い続けたのは、彼は既にこの世にいない父を追い求めていたからだろう。母から聞いた「父親は誠実で真面目で純粋な人」という言葉と、手元に遺されたブラッディ・ローズ。父のようになりたいと、渡は一生懸命ブラッディ・ローズを再現しようとするが適わない。
 「あなたはあなたのバイオリンを作ればいいんです」と諭されたこともあったが、彼は自分自身の音楽をなかなか見つけられずにいる。そのことで迷い続ける。

 戦うことに積極的とは言えず、いつまでも自分のすべき事に迷い続けていた渡。しかし、「君がこの世に存在している意味」を知っている人間がどれ程いるだろう?端から見たら、誰がどう考えても渡の進むべき道は「仮面ライダーキバとして戦うこと」なのだが、その決意がない。非常にもどかしくイライラする主人公なのだが、それは仕方ないことなのだ。
 目的も力も、一方的に与えられるだけでは駄目なのだ。そこに自分の意志と魂を重ねてこそ、初めて自分自身の人生となりうる。

 自分自身の殻を破って魂の声を聴く。普通ならなかなか出来ることではないが、この物語では渡が好きになった女性・深央と死別し、自分自身に絶望していたところを、過去の音也の元に送られる。例えて言うなら、黄泉の国の死んだ父親に会いに行くのである…なんて言うと、ちょっと神話的モチーフになって面白い。
 そこで初めて渡は、父に触れ、共に戦うことでその魂を受け継ぎ、「人を守る」ヒーローの心を自分のものとして戻ってくる。エピはその回で音也の死も描いており、魂の引き継ぎとしても印象的に見せた。


 渡が自己存在で悩む一方、生き別れの兄の太牙は、結果的に「捨てられた子ども」となってしまった。母親は追放され、父親である先代のキングはこの世にない。
 ファンガイアから命を狙われることになった真夜は、息子太牙を、「美しき青空の会」のトップである嶋に託す。出産を控えていた為もあるだろうし、敵に狙われているのは自分一人なのだから、むしろ他者に預ける方が安全だろう。しかし何故、嶋に託したしたのか?そこが描かれなかったのは残念だ。(私は恐らく、人とファンガイアが共存するためには、キングである太牙と敵対組織の嶋が親子となって愛情で結ばれることが早道だ、という決断をしたからではないかと想像している。妄想の域だが)
 が、結果的に、嶋と太牙の感情はすれ違い、太牙は孤独を深めることとなってしまった。
 物語の描写を見る限り、太牙はキングであることに誇りを持ち、人をエサと言いきり、自信に満ちて堂々としている。彼にとって「キングであること」が、大きな自己アイデンティティだった。人間が信用できない彼にとって、人生の「父親的モデル」は、養父である嶋ではなく先代のキングに取って代わったのだろう。

 深央を失って、その激しい怒りを無分別にぶつけた結果、周りの全てが敵になってしまう太牙。深い絶望の淵から蘇った渡が、誰よりも救ってあげたいと思ったのが、兄であったのは当然だったのかもしれない。
 兄を救済するために、戦う相手。それこそファンガイアの力の象徴とも言える存在、先代のキングの亡霊だ。




 うーん、上手くまとめられなかったな。つづく。





仮面ライダーキバ オープニング・テーマ::Break the Chain


本体価格 1,200円 (税込 1,260 円) 送料別

キバのOP画面はかなり気に入ってます。

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