2009年01月19日

「仮面ライダーキバ」総括・1 賛否両論

 一年間放映した「仮面ライダーキバ」が終わった。製作に携わった全てのスタッフ・役者の皆さんには心から感謝している。
 正直、私はこの作品を一年間を楽しんだ方ではないかと思う。かと言って絶賛はしかねてしまう。なんとも複雑な思いのある作品で、自分の中で賛否両論と言ったところだ。毎週の感想は書いてきたけれど、改めて一年を通してみたドラマとしてのキバについて、思うところを書き連ねていきたい。
 基本的に私は繰り返し録画を観るタイプではなく、見逃しているシーンや勘違いしている描写もあるかも知れなし、キャラのセリフなども曖昧にしか覚えていない。またものすごく熱心なファンでもないので、雑誌やムック本のインタビューなどは一切読んでいない。その点はご容赦下さい。




 毎年様々な試みを見せてくれる平成仮面ライダーシリーズだが、9作目「キバ」の最大の特徴は、やはり現在と過去を同時進行で見せる、そのドラマの組み立てにあるだろう。
 しかしこれが成功したか?と言われると、全肯定しかねてしまう。
 まず「22年を隔てた2つの舞台」という設定そのものが、子ども達には分かりにくかった。次に似たようなシチュを重ねることで、親子の間で繰り返される縁と絆…運命というものを見せる代わりに、物語のテンポがもたついてしまう。そしてキャラの描写や成長の尺が、既存のライダー作品と比べて単純計算で半分しか与えられないことになる。

 以前にも書いたが、私は平成ライダーシリーズは、「何らかの理由で戦う力を得た主人公が、戦いを遠いして成長し、真のヒーロースピリッツを獲得するまでの物語」だと思っている。最初から完成したヒーローではなく、力の中で走り出しながら、あがき、思い悩みつつ、最終的にヒーローになるのだ。
 特に渡のような内気なキャラクターには成長エピが必須だと思う。内向的で引きこもりの青年。仮面ライダーの主役の性格付けとしては面白いし、彼の出生を考えると興味深いパーソナリティーだったが、ドラマを動かすパワーがあるかというと少々頼りない。周囲の善意溢れる変人達(笑)に引っ張り回されて、おどおどしているパターンが多かった。しかも性格上、どうしても成長速度は緩くなってしまう。彼にもっとスポットを当てたドラマが展開しても良かったし、成長物語を十分な尺で魅せて欲しいというのはあった。



ただ彼が主役として影が薄かったことの理由が、成長過程を描く為の物語の尺が足りないことだけではないことは、指摘しなくてはなるまい。

 まず「キバ」の中で私が一番気になったことで……恐らく特ヲタから最も批判を受けやすいのは、この一年間かなり高確率で、一般人の犠牲者を出してしまった事ではないかと思う。「間に合わない」のだ。目の前でファンガイアに殺されてしまうパターンも多い。しかし、あまりそれに対して渡が「口惜しい」「悲しい」というリアクションを取らない。また、戦う決意のエピもかなり遅かった。
 彼の内気さ、世間へのズレは分かるのだが、【優しさは強さである】というハートのポテンシャルを持ったキャラとして彼を描く場合、犠牲者への哀悼の気持ちがなかったのは残念だ。

 また、怪物三人組という非常に魅力的なキャラがいながら、現代編で生かし切れなかった。彼等は非常に渡の近いところにいる「仲間」になれたはずであり、渡の成長を支えることが出来たはずだ。最終的に彼等は封印されているのではなく、単にキャッスルドランの暴走を押さえるためにあそこにいるだけのようだった。だったらもっと、三人が一人ずつ、積極的に渡に関わっても良かった気がする。
 (以前、渡がケガをしてキャッスルドラン内に運び込まれたとき、ラモンが「この子を殺しちゃえば僕たち自由になれるんだよね?」とか物騒なセリフがあった気がするが、無視するべきですかね?・笑)

 そしてなによりこれが最大の原因ではないか…と思われるのが、現代編は謎の提示であり、過去編でその解答をするという、「キバ」の物語の構造だ。過去編の主人公は、強烈な個性で物語を引っ張る紅音也。しかも現代編の冒頭では彼は死んでいる。視聴者の興味はどうしても過去編の方に引っ張られてしまうのは、仕方ないことではなかったろうか。



 しかし、それと同時に言えることがある。この「キバ」という物語の中で、最も評価されるべきと思うのも、この「過去と未来の同時進行」という二重構造なのだ。
 恐らく、それは考えるのとやってみるのとでは大違い。50話近くの物語を、それぞれ過去と現代が同時進行で、謎を孕みつつ解答しつつシンクロしつつ。それはものすごい荒技ではないだろうか。取りこぼしはあるし疑問に思うことも残るのだが、それなりに最後まで描ききった上で明るい未来を見せた、というのはひとつの試みとしては良くできたのではないかと思う。
 個人的には、ただその一点でこの作品を評価してもいいかもしれないな、と思う程だ。


長くなり過ぎ。つづく!






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発売は2月みたいですね。

 
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