2008年09月05日

仮面ライダー龍騎・13 祈り(完結)

 結局戦いを終わらせることを決意したのは、ゲームマスターである神崎だ。それについては、主役である龍騎が直接物語の終結に関与しなかったことが、ヒーロー番組としては相応しくないという考え方がある。
 しかし私はそうは思わない。

 ミラーワールドにモンスターを創り出し、仮面ライダーと呼ばれる戦士を選んだのは神崎士郎だった。彼の哀しくも純粋な「妹を生き返らせたい」という願いが、全ての始まりだった。
だから全てを終わらせるのは、神崎であって当然であり、そうでなくてはならない。物語の始まりが深い悲しみならば、それを無理矢理断ち切ることは解決にはならない(SPでコアミラーを壊しても、戦いは終わらなかったように)。その悲しみを癒すことこそが、本当に物語を完結させることに繋がるからだ。

 あの最終回を「夢落ち」とか「それまでの全ての戦いをリセットして終わり」と言う人もいるが、それは違うのではないだろうか。戦いがあったからこそたどり着けた、戦いのない世界なのだ。


 何度戦いを繰り返しても、兄の願いを拒む優衣。
 優衣はまた、二十歳の誕生日を目の前にして、自らの意志で粒子化して消える。だがまだ戦いを続けようとする神崎に向かって、「優衣ちゃんの気持ちが分かってない!」と叫んだ真司の思いが、暗い心に風穴を開けたのかも知れない。自分に疑問を持って初めて、闇に閉ざされた心に光が差したのかも知れない。
 その言葉が神崎の心に届いたのだとしたら恐らく、ライダーバトルが繰り返された長い時間と、真司の放った言葉の力のせいだったのではないだろうか。修正を繰り返すたびに少しずつ重ねた絶望が、頑なな心に隙を作っていた。戦いに思い悩んだ真司の心からの言葉には、彼の苦悩に相応しいだけの力があった。

 だからライダー達の繰り返した葛藤や苦悩には、無意味なものは一つとしてないと、私は思う。
 その戦いの一つ一つが紡いだ時間が、全てのライダー達の思いを受け止めようともがき続けた馬鹿な男の苦悩が、最終的に世界を救うのだ。
 「優衣ちゃんの気持ちが分かってない!」あまりに単純で普通のセリフだ。しかしこのセリフの重みを知るためには、彼がこれまでどれ程もがき苦しんで来たかを知り、彼の思いに共感していないと分からない。その言葉の力を真に受け止めるためには、ライダー達の戦いを見守っていなくてはならない。

  
 私はあの最終回、暗い部屋で絵を描いていた幼い兄妹のまわりが、ぱーっと明るくなってそこに笑顔の士郎と優衣が来て絵を描くシーンは、それまでの戦いを経て初めて開かれた世界なのだと思う。
 それまで一度も笑ったことがなかった神崎士郎の安らかな笑顔。エゴによる戦いは、他愛への祈りで幕を閉じる。



 「仮面ライダー龍騎」という物語を通して体験し、その中に巻き込まれることで、あなた自身もその【物語の一部】になっていく。
 SPの中でベルデ・高見沢は「人間はみんなライダーなんだよ!」と言う。確かに私達は、常に自分のエゴに振り回されて戦っているライダーだ。だからこそ共感する。悩み、迷い、それでも戦い続けるライダー達に。
 人はやはりエゴで生きると傷つくだけであり、それを癒すのに必要なのは、より大きな愛の力なのだろう。



 戦いの悲惨さを描きながら、「それなら人として生きるにはどうすればいいのか?」と問いかけてくる「仮面ライダー龍騎」。

 そこに流れている大きなヒューマニズムへ至る道は、私達に何かを語りかける。




ー仮面ライダー龍騎考・了−       

長々と失礼しました。
ちょっとだけオマケがある予定(笑)






仮面ライダー龍騎 Vol.12(完)


標準価格 6,090円 (税込)
価格 4,622円 (税込 4,853 円) 送料別

それまでのTV45話、映画、SPと、全ての物語を見続けたなら
この最後の戦いを見届けて欲しい。
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