2008年07月01日

仮面ライダーアギト・5 仮面ライダーであろうとした男、なり損ねた男

 クウガに始まり、現代に蘇った新しい仮面ライダーの形を模索してきた平成ライダーシリーズ。その二代目の「仮面ライダーアギト」を盛り上げた第4のライダー、アナザーアギト・木野。私は彼の登場は、シリーズのターニングポイントではないかと思っている。
 
 彼は最愛の弟をその手で救うことが出来なかった。それは大きな心の傷となり、「全ての人をこの手で救う」という強い願望…というより執着になってしまう。「自分が救うのだ」「俺が救わねばならない」との思いの強さ故に他者を排除しようとさえする。
 それまでもアギト、ギルス、G3が戦うことはあった。しかし基本的に彼等は正義の味方であり、互いの立場の違いと異形故に、誤解と行き違いで戦っていたに過ぎない。しかし、アギトやギルスに対するアナザーアギトの戦いは、誤解ではない。明らかにエゴ故の排除、自らの主義主張を貫くが故の攻撃だった。

 しかし三人のライダーと出会って、彼等との戦いを経たことで「人を救うのだというエゴ」から、真の正義、より深いヒューマニティを獲得する。その時初めて、彼の魂は救われるのである。
 何度も夢に見てうなされていた、弟との死別。彼は死を前にした幻の中、雪山を弟と共に歩む。自分は人を救うことが出来るのだという手応えと、心からの安らぎが、そこにあったのだろうか。

 彼の存在は、「仮面ライダー」というヒーローのフォーマットに一つの大きな可能性を作ったと言えるのではないか。制作者がそれを意図したか否かは別として、彼の戦いをより深く劇的に創り上げたのが、三作目に当たる「仮面ライダー龍騎」であったと言えるかも知れない。
 エゴと戦い。エゴと正義。戦うこと自体がエゴイズムとも言えるのだが、じゃあエゴに振り回されて戦って、そこに待つものはなんなのだろうかと。それを超えて輝く正義とはあるのだろうかと。



 ついでに言えば、「アギト」には「仮面ライダーになり損ねた男」が二人いる。北条と尾室だ。

 北条は警視庁のエリート。どちらかというとG3チームの敵役であり、嫌味連発のヤな男というポジションだ。それでも何故か回を重ねる毎に愛されていったのは、その根底には警察官としての正義感と強い意志に溢れてた描写がされていたからだろうか。また、彼の持つ独特のセリフ回しの面白さは、小沢澄子との掛け合いもあって「来た来た」とちょっと嬉しくなる。
 尾室は小沢曰く「まぎれもなく凡人」なのだという。しかし重要プロジェクトであるG3チームに選ばれているのだから、本当はエリート街道を走っているはずだ(笑)(尾室が凡人なら私なんぞはさらに凡人の極みなのだろうが…)でもあの濃いキャラだらけのアギトに置いて、どちらかというと薄味で目立たない。そう言う意味で単に「普通」な男だったのだろう。ただ、私は個人的に彼を応援していて、SP版でG3マイルドで頑張ったのはとても嬉しかった。ついつい身を乗り出して応援してしまうシーンだ。

 北条も尾室も、「ライダー」にはなり損ねたが、最後まで立派に戦っていたと思う。
 超人には超人の戦いがあるように、普通の人には普通の人の戦いがあった。常に最前線で戦う三人のライダー達に嫉妬や誤解をしつつ、天才・小沢にはキツいツッコミをされつつ、常に彼等のベストを尽くしていたのを私達は知っている。
 最終回で、笑顔の彼等につい嬉しくなってしまうのは私だけではないはずだ。





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G3マイルドってネーミングは味わい深いよねえ
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