2014年04月18日

キルラキル考察・4 キルラキルってキャラも癖があるよなー

 状況に巻き込まれ、人の思惑に動かされ、がむしゃらに戦って勝って強くなって。「キルラキル」の主人公・纏流子は今日も目の前に敵にメンチを切る。
 周りの奴らは癖のあるキャラばかり。最上段から見下ろす太眉への字口女に、その配下の怪しげな四天王、訳知り顔の変態教師と変態モヒカン、自分の味方はトンデモ理論で煙に巻く押し掛け親友とその大らかで無茶苦茶な家族だ。しかも驚くべき事に、物語の基本的な設定に付いてはほとんど説明がないままにストーリーが進行して行く。唯一分かっているのは「生命戦維」という超科学が存在している事…
 そして私は思うのだ。「うーん、面白いんだけど、なんだかわかんないなー」




 この物語、前半は学園制覇モノで【主人公・流子】vs【鬼龍院皐月と四天王+学園生徒】の戦いになっている。その中で単身戦う流子をサポートするのが満艦飾マコとその家族、あと謎のヌーディストである美木杉先生だ。
 この美木杉先生は「訳知り顔でモノを言う割には肝心のところで役には立たない」という、主人公からは一歩引いた立場を通している。無駄に光る乳首と股間のせいで見失いそうにはなるけれど、その立ち位置は如何にも先生であり「ヤンキーに接している大人」だ。美木杉としては流子の成長を見守っているのだが、流子本人は「なんだこの変態」と軽い反発を見せている。
 流子の支えになってくれているのは友達、満艦飾マコと満艦飾家の人々だ。にも拘らず、誰一人普通の人が出て来ない「キルラキル」の中でも最大限にカッ飛んでへんちくりんなのが彼らという、およそ戸惑わざるを得ないキャラ配置になっているのがすごいところだ。

 マコの振りかざす理論は無茶苦茶だ。実は言葉だけとればそれほどおかしくないし筋も通っているっぽいのだが、「え、今それをここで言うの?」という困惑に満ちている。
 例えば……ケンシロウとラオウが睨み合って一触即発の状況というときに、傍にいたリンが「ケンは負けない!ケンの筋肉がとってもきれいなの、私お風呂場で見たんだもの!」とか言い出しちゃうみたいな。普通だったらまずあり得ない。でも毎回、そんなのが流子の戦いの度に繰り広げられるわけだ。
 そーいうあまりに斜め上のところからくる掩護射撃に、登場人物のリアクションは「笑っちゃう」「ポカンとする」「イラっとする」と、だいたいその三種類だ。が、それは視聴者も変わらないだろう。
 満艦飾家も大概だ。そもそも「闇医者」ってどーゆーことだよ。あいつらいつから本能町に住んでるんだよ。又郎の義務教育ってどうなってるんだよ。あのコロッケ何混ざってるんだよ…と。(←ちなみにこれらは全て最後までうやむやです・笑)



 しかしマコもその変な家族も、いきなりやってきた纏流子に対して、調子っぱずれだが心から温かく接してくれる。
 なによりマコはどんな時でも流子の味方で、たとえ相手が誰であれ、決して臆する事はない。それが極制服を着た皐月や四天王でも、いきなりやってきた反制服運動のゲリラでも。
 5話で反制服ゲリラの黄長瀬紬に流子が襲撃されたとき、マコは流子に出会うまで「頭の中にしか友達がいなかった」と言っている。見た目に反して孤独な学園生活だったのだろう。押し掛け親友ではあるが、マコは流子の事を本当に大切に思っており、流子もその突飛な言動に唖然とさせられつつ信頼し、二人はいつも一緒にいる。
 二話では気持ち悪そうに描写された満艦飾家の食卓だったが、いつしか彼らとの日々に馴染み、その「なんだかわかんないものが混ざったコロッケ」を流子が美味しそうに頬張るようになった頃。

 そんな調子で進んで来たお話が、いきなりひっくり返る。第七話「憎みきれないろくでなし」だ。

 スタートは和やかな食卓と、騒がしくも温かい満艦飾家の描写なのが、喧嘩部の立ち上げと躍進が富を生み、彼らは一気に成金になってしまう。そこで簡単に金に踊らされるところは如何にも「あの人たちだよなー」って感じなのだが、それぞれが我欲に走ったために家族はバラバラ。ついには流子は喧嘩部特化型二つ星極制服を与えられたマコとの一騎打ちをする事になる。
 あのマコが!どんな時でも流子を信じ応援していたあのマコが!流子に拳を向けるのだ。
 喧嘩部極制服はそのデザインもマコによく似合っているし、結構ガッツリ戦うので、見ているこちらは本気でハラハラする。もちろん、ここから二人が敵味方…なんてひねくれた展開、「キルラキル」はしない(笑)そこから二人が和解する過程もなんとも彼女達らしいし、泣きながら反省するマコが表情も台詞もものすごくいいので、見ていてグッと来てしまう。

 そりゃ王道な展開といえばそうだ。思いっきりベタだ。が、その王道展開を見事に魅せてくれる。一話の中にこれだけ詰め込んで自然に持って行く手腕が素晴らしかった。見ているこちらに考える暇を与えない。あれよあれよと言ううちに、どんどんお話が転がって行ってキャラが変貌し、クライマックスの一騎打ちに持って行って、感動させた上で爽やかに締めて、めでたしめでたし。
 二人が眺める打ち上げ花火や、ラストのにっこり笑っていつものコロッケを食べる流子の笑顔に、思わずこちらの顔がほころぶ。後に残るのは「いや〜面白かった!よかったなーいいお話だったなー」というスッキリ感だ。



 満艦飾マコというキャラは、とんでもない飛び道具だ。バトルもののアニメで、これから戦おうという場の空気を壊して、超理論でノリを崩す。面白いと言えば面白いけれど、描き方によってはウザキャラになりかねない。
 でも第七話で「マコが彼女らしい理由で敵になり、また彼女らしく流子の友達に戻る」という、このストレートな裏切りエピを作り上げる事で、この風変わりな女のコが「キルラキル」という物語にとって本当に必要で愛すべきキャラなのだなと実感させられた。マコは「流子ちゃん」が大好きで、きっと、きっとこれから先に流子に大変なことが起こったとき、絶対彼女の事を助けてくれるんだろうと。

 そして、このエピソードを経た頃から、マコのトンデモ理論を聞いたリアクションとして「笑っちゃう」「ポカンとする」「イラっとする」の三種類の他に、「さすが満艦飾」というのが増えるわけだ。…絶妙すぎだろ!(笑)




 「面白かったけどなんだかわかんない」作品が「なんだかわかんないけど面白い」に。
 物語の布石は着実に置かれている!

 あの頃は全く気付かなかったけどね。
 ただ、面白かった。それでよくなっちゃったから。



まだ続く!我ながらしつこいw



 
posted by K at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | キルラキル